ヘッドハンターであるものの、半分は転職コンサルタントである私。。。
キャンディデートさん(候補者さん)がポジションへアプライに合意頂き、面接へ呼ばれる。
今は企業側と候補者側でいったら企業側の買い手市場(2008年頃~)。呼ばれた後は面接支援に回るわけなのですが。。。

以前(1年半くらい前)にこんな面接対策ノートを記述しました。
題して「面接の必勝論」!
特に職種や業種等を考えず、対象を外資企業を前提につくってみました。

私は面接はフィッティングであり、相手の求める形に有る程度自分の形を変えるというのが一つの回答だと思っています。
いまから考えると其れは最低限なのであって、其れが出来ているから必ず欲しい人材に選ばれるというわけではないでしょう。

ただしスペックベースで決めるポジション(○○の知識、開発実績のある方)等であれば、比較的この論理も通じるかと思っています。

掲載してみますので皆さん(読者様にこの業界の方も数名いらっしゃるようですので、是非ご意見いただけたらと思います。)

文体がバラつきがあったり、少し失礼な表現があるかもしれませんが、ご容赦ください。




■面接の必勝論■

面接というのは日常から離れていてごくたまにしか行わない物です。私は面接というものに人によってそれほど得意・不得意というものは無いと考えています。確かにコミュニケーションのバランス感覚が秀でている方は以下の項目を自然と行っている方も見受けられますが、“面接のロジック“を考え、ポイントを抑え、事前準備することが出来れば、かなりのレベルで上記のそれに近づくことができると思います。

少し長いかもしれませんが、基本的な16項目まとめております。赤字の部分が要所です。事前にやっておくことと面接中に意識することと2つの要素があります。
よくお読みいただき今回のインタビューに自信をもって臨んでください。


1)企業・ポジションに関する下調べ
面接する企業の「ウェブサイト(事業内容・プロダウトやサービス詳細)」、「ポジション要綱/Job description」、「採用に関するページ(無い会社もあります)」についての内容把握は必ず行ってください。
事前準備で面接の半分のファクターを占めるといって良いほど重要です。面接担当者は、あなたが既にこの下調べを行っているという前提で面接を進めます。
この項目で重要なことは、以下の2つの視点です。

-Role(仕事内容及び立場)について
Job Discriptionは面接者からのメッセージです。“どの様な成果を残してほしいのか”、“どのような意気込みで仕事に向かって欲しいのか”が記述されています。またそのRoleを読み、どのように自分は動くのかを想像してください。
想像できないときは近い業務に従事している知人に聞いてみることも解決策です。もちろんICPA(エージェント)に説明を求めれば咀嚼して解説いたします。

-Requirement(応募資格及び求める人物像)
項目は複数項目あることがほとんどです。
例えば“CRMシステム開発経験3年以上”と“ビジネス英語ができる事"など会社によっては10項目近く上げるRequirementも多くみられます。
必ずそれぞれの項目に自分の経歴とスキルを照らし合わせてください。
満たしている項目は、“何を根拠に満たすといえるのか”を文書の下にメモします。
満たしていない項目は、“どれくらいまで満たしていると自己評価するのか、満たしていないものを補足する為にどの様な努力が必要と思われるか、又は現在努力しているのか”を記述してください。
自分が満たしているかわからない項目もあるかもしれませんので、その場合はICPAへご連絡ください。意図がわかりにくいものは確認をいたします。

“項目ごとに照らし合わせ自己評価すること“、”不足要素の補完努力をどのようにするかを決める“2点が重要とお考えください。

2)自分と相手の公約数を見つける
自分の経歴を振り返り、今までの経験・スキルが今回面接する企業と応募しているポジションのどの部分に、どのようにマッチするのかを考える事が重要です。
面接時に相手が知りたいのは、まさにその共通部分なのです。自分でもその部分を解らないでいるのに、当然相手に伝えることはできないと言い切ることができると思います。
むかし数学で勉強した「公約数」のようなイメージです。二つの整数があり、それぞれの約数が共通している部分(図に書きましたよね・・○と○が重なる部分)こそが、企業の求める人物像と自分の経歴がマッチするのです。
それを知るためにいろいろ説明をしてくるのですから、自分で答えを知っておく必要があります。
また、相手が良い質問をしてくれないからといって、自分をアピールすることが出来ないようではいけません。「何故この会社は私を採用すべきなのか?」それを自分から相手に“教えてあげる“、そのくらいの情熱が必要です。

3)転職動機
この質問は100%されます。何故今回転職を考えたのか、その動機について語れるようにしてください。
注意するポイントとしては、「あくまでも動機はポジティブなものである」ということです。
今の仕事に対する不平不満や会社の悪口を相手は聞きたいのではありません。現状と自分の理想にギャップを感じているのであれば、それを正直にお話してもらう事は問題ありませんが、悪口になるような事を長々とお話ししない事です。あくまでも自分にとって「今回の転職はキャリアアップである」、というメッセージを相手に伝えることです。

4)志望理由
「何故、この会社なのか?」「何故、このポジションなのか?」
非常に重要な質問です。これに答えられない方は、まず間違いなく企業側からオファーはありません。
1)で調べた内容を基に、「自分は他ではなく、ここで仕事がしたい」という熱意を相手に伝える必要があります。
もちろん、きっかけはICPA(エージェント)からの情報・提案であったとお話して頂くことは問題ありません。
しかし「勧められたから来ました」では成立しません。きっかけはICPAであっても、その後に自分なりに下調べを行い、例えば「この会社のこの技術に興味を持った」、「このビジネスに共感できた」、「このポジションなら自己の経験のこの部分と、スキルのこの部分が生かせると思った」など志望理由を事前に準備し、伝えてください。

5)経歴の説明の仕方について
「自分がもし面接をする立場だったとしたら・・・」、「応募してきた自分のレジュメを見て、どんな質問をするだろうか?」そう考えてください。
恐らく、その質問は面接でされるでしょう。
つまり、1)で行った下調べが充分に出来ていれば、自分の経歴のどの部分に相手が興味を持っているのかがわかってくると思います。
重要と判断した経験に関しては、より具体的に話が出来るように準備をしてください。

経歴の説明をするときは、「どんな話をしたら相手は興味を持ってくれるか」を考え、話をする必要があります。今回のポジションに関係ない経歴やスキルについて話をしても、相手は興味を持ちません。
面接するポジションにあわせて、自分の経歴の説明内容もカスタマイズしてください。

また、自分のキャリアプランについても話せるようにしておきましょう。
短期的(6か月程度)とて長期的(3年程度)のプランについて仮定をし、今回の転職が自分のキャリアプランの方向にどのようにマッチしているのかを伝えてください。

6)苦労話
苦労話を面接の場ですると、必ず喜ばれます。出来るだけ具体的なエピソードを用いて、自分が今までの経験の中でどんな苦労をしたのかを話してください。
また、苦労話をするときは、その苦労の背景には”どんなファクターがあったのか”、という原因について分析し、話をする必要があります。
そして、その苦労を自分はどうやって乗り越えたかをお話しましょう。

結果、その苦労から自分は何を学び、次に同じ失敗を繰り返さないためにはどうすべきか、というソリューションについて話ができたら完ペキです。
これはあなたの問題解決能力をアピールする非常に有効な手段です。

ただし苦労話のネタとしては「相手が聞いて喜びそうな苦労話」です。
面接を受けている会社の製品を使ったことがあれば、その製品やシステムに関する話題もタブーではありません。逆に喜ばれることが多いです。

7)「何か質問はありませんか?」
面接担当者にこの質問をされたときが、自分の熱意をアピールする大チャンスです。「特にありません」ではダメです。「自分はこのポジションに興味がある」、「自分はこの会社で働きたいんだ」、という熱意を伝えるためにも、事前に疑問に思った事は都度書きとめておきましょう。必ず2つ程度は質問を準備してください。

実は、この質問と言う場をかりてご自身の知識・能力を先方に伝える絶好のチャンスなのです。
「私はこんな事も知っている、知識が十分にある、こんな関連する経験もある」、ということを質問の中に入れて、聞いてみるのです。これなら、「自画自賛」や「いやみ」とは相手にきこえずに、あなたの能力をスマートにアピールできるのです。この場をうまくつかるか否かは極めて重要とお考え下さい。
すべきでない質問は、給与や休暇など条件に関する質問です。オファーが出る段階になれば必ずこういった質問をする機会があります。後ほどICPAが代わって質問することも可能です。あくまでも質問は仕事に関するものにしてください。また面接するハイヤリングマネージャがそれを知らないことも多いのです。

8)入社時期
入社時期について聞かれた場合は、前提として「自分としては一日でも早くスタートしたい」、と最初に言い切ることです。
やる気が伝わりますし、面接相手は出来るだけすぐにスタートできる人を探しています。だから、相手が聞きたいことを最初に言っておくのです。

その後に「しかしオファーをいつ頂けるかにもよりますので、オファーを頂きサインをしてから現在の会社には辞表を提出することになると思うので、引継ぎの期間は欲しい」と伝えることがベストです。
これは交渉における、まず相手の意図するものに合意するというテクニックです。
ただし引き継ぎの期間は通常ですと1か月、長くても2か月というのが通例です。
面接の中で引き継ぎに1カ月以上かかるとお話するのはマイナスポイントです。業務遂行能力が低い人だと思われる可能性もあります。
また、個人側の影響としても会社に退職届を提出し、次の会社でのスタートまでの間というのは大変ストレスがかかります。引き継ぎ期間はなるべく短くした方が自身にとってプラスになることの方が多いのです。

9)希望年収の答え方
現在の年収に関する情報は、企業へご紹介の際にお伝えしてあります。
希望年収に関して質問されたときは以下の要領にて回答することがベストです。

直接質問が無かった場合は、自ら希望を伝える必要はありません。年収の交渉は候補者が行うとネガティブな印象を与えるケースが多いので、そういった役回りはエージェントにお任せください。

質問があった場合は
「自分の現在の年収は~円です。キャリアアップをすることで年収を落としたく無いのは確かです。年収アップを希望します」と、はっきり言って頂いても結構です。しかし、その後には「一番大切なのは仕事の内容であり、自分のキャリアパスである」と必ず付け加えてください。

「今回のポジションと私の経歴・スキルを正当に評価していただき、フェアな条件であれば問題ありません。年収とは自分のした仕事に対する評価であり、入社してから自分で勝ち取るものだと思っています」
等とお話いただけるとスマートです。
もちろん、オファーが出るとなった段階で年収に関する交渉はICPAが代行しますので、ご安心下さい。

10)回答に詰まったら・・
例えば技術に関する質問や、「こんなシチュエーションであなたはどうしますか?」という質問で回答に詰まったら、以下の点に注意してください。

*いい加減な答えは言わない
当然ですが、知った顔をしていい加減な答えを言うのはタブーです。すぐに見抜かれます。

*すぐに諦めない
すぐに「わかりません」と答えてばかりではいけません。知らないことはきちんと考えていない人だと思われます。わからないなりにも、アグレッシブに問題にアタックしてください。「わかりません」と言うのは最終手段です。
また、こんな答え方もあります。

*質問に質問する
すぐにわからなければ、自分の理解を深めるためにも質問の内容に逆に質問し、情報を多く取ろうと試みます。相手に質問を投げ返すのです。相手が何を望んでいるのかを知る手がかりにもなりますし、何度か質問をしながら、ロジックを固めていくことができます。

*解決方法を提示する
答えがわからない質問でも、自分ならこうやってその質問に対する答えを導き出す、という「アクション」についてなら話は出来るでしょう。例えば顧客から技術に関する質問があり、それに即答できない場合は、顧客の名前と連絡先を聞き、自分(または他のベストパーソン)で調べて回答を見つけ、顧客に折り返し連絡して回答を伝えるという一連の作業が出来ますね。そういう考えです。

*推察する
「自信はありませんが・・ ~ということではないかと推測するのですが、実際はどうなのでしょうか?」と、切り替えして相手に答えを教えてもらう方法もあります。そこで相手の説明を聞きながら、なるほど、勉強になります、と誠実な態度で“教えてもらう”ことも大切です。

11)長所・短所
自分の長所・短所を言えるように事前に決めておいてください。面接は自己のセールスです。
謙遜すぎては、何一つ”トク”をしません。
「自分はこれに自信がある」、「これだけは人に負けない」、「これなら任せてください」という“何か”をアピールできなければ、オファーは貰えないものだとお考えください。

また自分の短所、つまり今の自分に何が足りないかを分析し、話せるようしておくことも大切です。
そしてその短所を克服するために自分はどんな努力をしているのか、その点まで話をすることが重要です。

※10)も11)もそうですが、ポイントは「問題を放置しない」ということなのです。
常にアクションを持つこと。問題を解決する取り組み。それが大切です。

12)アンサーファーストであること
企業の求める人材の中で“ロジカルシンキングができること”などの要素を盛り込む企業が大変多いです。
面接の中でそれを簡単に図る方法があります。それは質問をした内容に対して先に回答から話し始めている事です。

人は話をするペースや得意な話し方があります。それを完全に補正することはできませんが、質問をされた場合に一呼吸置き、必ず“回答”から話すというのを意識づけておくことで得られる事も多いのです。
もちろん回答を先にするとシンプルになってしまうので、そのあとに話を続けます。基本は“1に回答、2に理由、3に事例提示”となります。区切ることによって相手との会話のキャッチボールのチャンスを作るきっかけになるということもメリットになります。

13)意見を持つ
面接している間は、自分がその会社の社員になったつもりで話をしてください。
“そのポジションで自分が仕事をすることが決まっていて、仕事を進めるにあたって、どのような手順で進めるのがベストかを今日は打ち合わせしに来ている“くらいの気持ちで面接に臨んでください。

自分は「今回のポジションに対してこう思う」、「この会社のこのビジネスに対してはこう思う」、そういった意見を持っていることも重要です。そして意見を述べる際には、“何故そう思うのか”、“自分であればどうしていきたいか”、“そうする為に自分は具体的にどのように貢献できるのか”、そういったディスカッションをするつもりで面接をすると、より中身の濃い面接になります。

14)参加すること
面接は受けるものではなく、参加するものです。
相手からの質問に答えるだけでなく、自分からも相手に質問し、意見交換をします。

“どうすればお互いにハッピーなビジネスを協力してやっていくことが出来るのかを話し合う、打ち合わせする“、そんなイメージで面接をしてください。
相手はあなたに興味があるから面接のリクエストをしてきたわけで、あなたは相手に興味があるから面接に来たわけです。

つまり、お互いにあなたにオファーが出ることを望んでいるということです。
自分からもどんどん会話に参加し、相手に飛び込み、巻き込み、中身の濃い面接をしてください。

自分の心は、相手の隣に座らせることです。
向かい合うのではなく、隣に座る。隣に座って、協力して一緒にビジネスをしていくための打ち合わせであるという認識が重要です。

15)好かれる事
どんなに優れた人材でも、相手に好かれない事にはオファーは出ません。
オファーを手にするのは、「ポテンシャルを感じる方」、「好感の持てる方」、「“この人と一緒に仕事をしたい”と思わせることの出来る方」です。
相手に好かれるためには、自分から相手のことを好きになっていく必要があると思います。
そして、ここで仕事をしたい、一緒に仕事をさせて欲しい、という熱意を相手に伝えることです。

16)第一印象
当然ですが、第一印象は大切です。出来る限りプロフェッショナルな格好で面接には臨んでください。そして、相手の目を見てはっきり発言すること。笑顔も忘れないで下さい。
面接を楽しみ、お互いに心から会えてよかったと思えるような時間を過ごしてください。


以上長文となりましたが16項目を押さえていれば、面接で怖いと思う事は無いはずです。
基本に戻り1項目づつ、考えてみてはいかがでしょう。
この文書が少しでもお役に立つ事をお祈りしております。

ICPA 園部龍