川上弘美著『このあたりの人たち』
紙パックのアイスコーヒーやレトルトのハンバーグを出す“スナック愛”には町の人は誰も行かない。
公園に行くと犬学校の校長先生が話しかけてくる。
八郎番というのがあり、敷島家の15番目の子供の八郎を町内で順繰りに居候させている。
町外れの団地には6人家族ばかり住んでいる。
赤井の家の黒い犬は凶悪だった。
かなえちゃんのお姉さんは自分の銅像が建つことを願っていた。
町に外交官が来たらしい。外交官は町外れの湖で釣りをしているらしい。そこに湖なんかあったか?という疑問から町に抗争が起こった。
短い短い物語が次々と語られる小説集です。
学校も級友もその家族も、近所の人も訪れる人達も、皆不穏な雰囲気を纏い、ひそひそと物語られるうちにやがて世界は軋み、歪んでいくようです。
でもこの不穏な空気、噂話のような物語、どこか懐かしい気もします。
小学生の時って、世界はこんなふうに見えていなかったでしょうか。
そこかしこにささやかれる物語。あの路地には荒れ果てた家があって色々訳ありらしい、その抜け道は近道だけど変なおじいさんがいるから気をつけて、学校のそばの病院にはある芸能人が内緒で入院しているようだ、等々…。
狭い生活圏から少し外れただけで様々な冒険譚も生まれます。
人は不穏や歪みを求めてしまうのでしょうか。
ついその世界に浸ってしまう本でした。
いろんな物語をこれからも読んでいきたいです。
今年もよろしくお願いします。