【スピン spin  第6号】

目次の紙 [レザック16]のケイコウイエロー が映える第6号

文芸誌だけあり、多様なジャンルの掲載で毎度楽しませてくれるスピン。いつものごとく300円とは思えないクオリティ。

八木寧子さんの『紙の声』からパッケージの話があった。

作り手の思いを届けるための、緻密な計算による"デザイン"がほどこされているのだ。だから私たちはパッケージに魅了される。なぜなら、「物語」を読み取るからである。

パッケージに魅了されることを書き表したこの文に魅了された。
自分はパッケージを見て、例えばものを買うのかどうか決めるとする。その行為には、パッケージのデザインの魅力そのものと同じかそれ以上に、パッケージを"デザイン"した制作者に魅了されていることが、無意識のうちに購入の決め手になっているのかもしれない。
これは、本の表紙でその本買うかどうかを決める(本に限った話ではないが)、所謂「ジャケ買い」をイメージすれば完全にソレだと思った。

渡辺祐真さんの詩の話があった。

詩のゴールについて、意味が理解できることがゴールなのか?について意見を述べている。

詩を読むことを苦手にしている多くの人が、詩を読めたかどうかの基準を、「意味を理解できたか否か」に置いている。ー中略ー内容の分かりやすさだけを目指すのであれば、詩である必要はない。反対に言えば、意味だけではないところに、言葉の芸術たる詩の本質がある。

こう語られていた。
そしてその後の文には、意味だけでないところの詩の楽しみ方のヒントが載っている。
前々から詩集を買いたいと思っていたが、意味だけが読める事ではないと知った事で俄然、詩に興味が湧いてきた。

この他、エッセイや、短編、連載等々今回も充実の一冊だった。

最後に紙の話

簡潔に言うと、冒頭に書いた目次で使われている「レザック16」という紙のケイコウイエローは本当に鮮やかで、本文を読んでいる時もたまに意味もなく目次を開いては触り、目でも手でも楽しませて頂いた。

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