第164回  直木賞受賞作

心淋し川
閨仏
はじめましょ
冬虫夏草
明けぬ里
灰の男   六篇からなる一冊


心淋し川
誰にでも心淋しい時が訪れると思う。
でもいくら塵芥が溜まっている心淋し川でも川である以上ゆっくりでも流れていくのと同じように、心淋しい時も心の中で少しずつ気持ちの塵芥を押し流しながら人は生きてるんだと思う。

閨仏
平穏な暮らしが途絶える時、それは絶望かも知れない。そんな時に支えとなるのは平穏な暮らしの中で得た些細な喜びだったりするのかも知れない。

はじめましょ
偶然から繋がる再会もある。相手のことを心のどこかに留めておけば。口合段々のように繋がる。生きている以上その偶然に気づくことも可能性も増えるだろうし、またはじめられる。

冬虫夏草
自分自身や自分がいる環境が侵されていく。じわじわと。人間関係の崩壊ってそういうものなのかも。たった1人との関係性だけに固執しすぎると尚更。

明けぬ里
おそらくこの町には運のある者はいない。そう思ってても、だからといって外の世界が必ずしも運のある人だけということはない。
自分から見て運が良いと思う人でも当の本人がどう思ってるのかはまったくの別なんだろう。


最後で差配の茂十の話で締め括られるのが響いた。



それは綺麗な町でも、川でも、人生でもなく心淋しいものだったかも知れない。けれど、心町に住む人たちの生き様はどれも輝いて見えた。

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