棚に同じ工具が何本も並んでいると、「こんなに要るのかな」と感じることがあります。すっきりさせたい気持ちはあっても、減らして仕事が止まるのは困る。そこで、数を決める前に確かめたいのが、使う仕事の重なりです。

■同じ形でも、残っている理由は違う

例えば、同じ寸法のレンチが3本あるとします。ここからは説明用の架空例です。

話を聞くと、2本は別々の段取りで同時に使うことがあり、もう1本は状態が気になって使わずに置かれていました。

見た目だけで「3本から1本に減らす」と決めると、二つの仕事が重なったときに待ちが生まれるかもしれません。反対に、状態を確かめていない1本を予備に数えても、必要なときに使えるとは限りません。

■本数の横に、使う場面を一言残す

最初から工具全部を調べる必要はありません。重複しているように見える一種類を選び、使う人と次の場面を確かめます。

「何の仕事で使うか」「同じ時間帯に必要になるか」「今、使える状態か」。分からないところは推測せず、確認先を残します。

先ほどの例なら、「2本は別々の段取りで同時使用あり。残る1本は状態確認待ち」とメモする形です。これは本数の適正を決めた記録ではなく、次の判断に必要な情報をそろえるメモです。

傷みが疑われる工具は通常の工具として使わず、社内の確認担当者と手順につなぎます。点検や使用可否の判断を、片づけの担当者が代わりに行うものではありません。

そのうえで、残す数や置き場所を検討します。変更する場合は社内の承認を経て、次に仕事が重なったときに困らなかったかを振り返ります。確認できていない段階で、余剰と決めて処分はしません。

棚を見て「何本減らせるか」と考える前に、「どの仕事が重なるか」を一つ聞いてみる。整理の判断を、見た目から仕事の使い方へ近づける一歩です。

本稿は、北澤拓実著『小さな工場の、続く5S』の考え方をもとに、記事用に再構成しました。

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