♪🎶♪
「言葉にできない」(オフコース)
先月来てくれた、息子の大学の友人N君が帰り際に教えてくれた。
「オレ、最近コレ、聴いてるんです。歌詞が今
(の自分の気持ち)と合ってて」
♪あなたに会えて ほんとうによかった
嬉しくて 嬉しくて 言葉にできない♪
…のとこだろうか?
運転中だったので、
「随分古い曲だね。あとで私も聴いてみるね」とだけ返した
(私は運転が不馴れで、会話できる余裕がない)
3人の大学の友人(Y君、N君、H君)が夜行バスを使ってわざわざ息子のために来てくれた。
今回都合が合わずこれなかったT君を合わせた4人が、同じ学部の友人グループらしい。
その日はあいにくの雪。
一人の子は家に着くなり靴下を脱いで、どうやら玄関で何枚ものウェットティッシュで足を拭いていたようだった。
お邪魔します、に続けて両手に抱えたティッシュを申し訳なさそうにゴミ箱に捨てた。
ごめんね、こんなとこまで…
私に連絡をくれて、今回日程を組んでくれたのがY君。
息子が入学式の写真を送ってくれてたから、
彼の存在は知っていたが、会うのは初めて。
写真の頃とは少し雰囲気が変わり、実物はさらに可愛らしい子だった。
大きな紙袋を渡され、何だろう?と一つ一つ取り出すと…
·ポテトチップス(コンビニ限定サイズ)
·缶ビール(ミニ缶)
·スルメイカのおつまみ
·梅酒のパック(1.8L)
この"梅酒"がインパクト大
「前にうちに○○○が泊まりに来たときに買って、飲まずにずっと家に置いてたので」と。
昼間、ここに来る前に観光をしてたようだけど、こんなに重い物、まさか持って歩いてた?
飲んだら息子に悪いとでも思ったのか、わざわざ持ってきてくれるとは。
紙袋にはもう1つ、<色紙>が入っていた。
思わず涙が出た。
ディズニーや浅草や、自分と息子の記念の写真を切り抜き、色紙にしてくれた。
余白には音符や記号などのイラストを入れ、
"○○○ Thank you "と
手作り感満載のオリジナル色紙
息子たちは理系男子
なのにこんなにアナログなものを、しかも21歳の男子が一人で作ってくれるなんて
思わず彼を抱き締めたくなったが、さすがに堪えた。
でもほんとに心を打たれた。
写真の息子は、その場その場で流行りのポーズをとっていたが、どれもぎこちない。
でもどれもとても楽しそう。
話を聞くと、Y君は、息子が亡くなったことを暫くは知らなかった。
冬休みに入ったばかりの頃で、知る由がなかった。
息子のことはN君から聞いたとのこと。
N君は息子と同じ学生委員会のメンバー。
そこには私は伝えていたから。
N君は息子のことを伝えるため、"集まろう"とY君を呼び出したとき、何も知らないY君は「○○○も誘おうよ」と言ったらしい。
その時のN君の気持ちを想像すると胸が苦しい。
だって、今からその○○○の話をしようとしているのだから。
息子のことを聞いて、Y君は相当泣いてくれたらしい。
「彼(Y君)、いつもクールなんですけど、その時少し取り乱してたんです」とN君。
「家に帰っても泣きました」とY君。
そんな彼がどんな想いでこの色紙を作ってくれてたのか。
息子が良い友だちに恵まれたことを知って嬉しかった。
N君も急遽その場で、他の友人たちから、息子の写真や動画を集めてくれた。
20~30枚位あったが、ほぼ酔っぱらいの息子。
乾杯の音頭をとる息子の動画がいくつかあった。
なぜか息子が連発で音頭をとってる。
久々に聞く息子の声。
ここでも相当楽しそう。
「まだまだ夜はこれから。飲みまくるぞぉ」だって。
いかにも大学生って感じの様子。
これまで最近の息子の映像を持ってなかったから、これもほんとに嬉しかった。大事な宝物。
彼らと3時間ほど会話し、息子の様子を沢山聞いた。
「どんなに前の日飲んでも学校には来てました」
「課題もギリギリだけど、○○○、なんか人脈が凄くて、最後にはクリアしてました」
「何となく、いつも○○○が中心に動いてたと思います」
そして、
「○○○は、いつも笑ってました」と。
2月に来てくれた中高の同級生も言ってた。
息子は"いつも笑ってた "って。
また、それを聞いて"じーん"ときた。
普段一緒にいた友だちが揃って言うくらい、
息子の学生生活はどの時代も楽しかったようだ。
翌日、Y君からお礼のメールを貰った。
「○○○は、大学に入って初めての友達で嬉しかったです。
最初に、○○○に出会えてほんとうに幸せだなって思ってます。
他の3人も○○○に会えて良かったって言ってます!」と。
偶然なのか、N君と曲の話をしてたのか、
二人は共通して「会えて良かった」と伝えてくれた。
過去形になってしまったこの現実が切ないが、これからも彼らの記憶に残ってくれて、たまにでも息子の話題が出てくれたら嬉しいな。
息子と同じ年代の子達に会うのは、複雑な気持ちになる。
でもこうして、私が知らない息子のことを聞けるのは嬉しい。
私は、これから社会人となる彼らを応援してあげなきゃね。