優駿牝馬 | 小島良太オフィシャルブログ「馬なりぃ」Powered by Ameba

優駿牝馬

いよいよ明日、ミッドサマーフェアが出走するオークスを迎えます。


ミッドサマーフェアと僕がはじめて対面したのは2011年2月14日。

北海道の浦河にあるBTCででした。

初めて見たときから一目ぼれし、厩舎にきてからも「ずっと乗っていたい馬なんです」とブログを辿っていくとデビュー前の僕の感想が書かれていました。

そして「なんちゃってウオッカ」と紹介したのが皆さんとミッドサマーとの出会いの始まりすよね。

うちの父が「どうだ、凄いだろ!」と僕に見せびらかすかのように自慢してから1年以上がたち、この間にデビューし、悔しい思いのレースが続き、そして桜花賞への道が閉ざされ、でもミッドサマー自身ものすごく頑張ってついにオークスという晴れ舞台の出走権を獲ました。

しかも今日現在では桜花賞1,2着馬をしりのけて1番人気。

小島厩舎は10年くらい前まで、G1に出走することは比較的当たり前にもなっていました。

年間に40勝を挙げ、数多くのオープン馬にも巡りあってきました。

しかし近年は勝ち鞍もその半分に減少し、G1に出走することは「珍しいこと」にもなっていました。

しかし、やっと巡ってきたG1のチャンス。杏姫もクラシックで大奮闘していましたが、ついにクラシックを制することはできませんでした。

そして巡ってきたクラシックでのG1制覇のチャンス。

ここまでミッドサマーは8戦を戦ってきました。牝馬のこの時期を考えると消耗しているのではないか、との見方もあります。でもミッドサマーはレースに出走するたびに学習し、自身を大きく成長させてきました。

今日、最終調整は坂路で行われました。坂を駆け上がり、馬を止めた瞬間、僕は「これで僕の仕事は終わり。いい形で蛯名君にバトンタッチできる」と充実感でいっぱいでした。

競馬は勝利を目指し、そして勝つことが目標です。しかし、ここまで頑張ってきたミッドサマーに「絶対に勝て」とはいえません。結果は求めるものではなく、あとからついてくるもの。そう思えてきました。

厩舎の不振が続いても調教師である父は腐ることなく頑張ってきました。

若い厩舎がG1を制し、生まれてから65年、すっと馬と生活してきた父がその舞台にも立てないときでもなにくそ、と頑張ってきました。

そして僕はこれだけは断言できます。「僕の父親は誰にも負けないくらい馬が好き」

未勝利馬だって、オープン馬だって、血統が一流じゃなくたってどの馬の同じように愛しています。

先日、メイショウの松本オーナーに言われました。

「僕が良太のお父さんが好きなのはね、どんな馬だって、他人の馬だってたった一度だってけなしたことがないところ。誰が見てもいい馬じゃないのにその中から何とかその馬のいいところを探して褒めてくれる。こんな人、後にも先にも良太のお父さんだけだよ。その馬への愛情にひかれたんだよ」と。

調教師たるもの、経営者でなければなりません。馬を商売道具として割り切る気持ちも大切なのでしょう。その点からすれば「経営者としては失格」なのかもしれませんが、「ホースマンとしては100点満点」だと僕は思っています。そして父が小島太で良かった、と感謝しています。

そんな父だからこそ、僕はもう一度世界を目指せるような馬に出会ってほしい、と思っていました。

ミッドサマーがそれを担ってくれるかどうかはまだわかりません。でもこうしてクラシックで1番人気に支持される馬に出会えたことが何より嬉しいことです。


明日、一体どんな結末が待っているんだろう。

皆さんもチーム小島の一員として、ワクワクというより、ドキドキだと思います。

ここに来てくれている人たちは人気で負けても文句は一切言わず、無事で良かった、と言ってくれる人ばかりです。だからこそ、皆さんとともに喜びも分かち合いたいと思います。





テレビで観戦する方、競馬場で観戦する方。見守る術はみんな違うけど、心一つに見守りましょう!