マルタンについて
マルタンガール(普段はマルタンと呼んでます)は何十種類もあるのでメジャーな3種類に絞って説明します。
代表的なものは「ビブマルタン」、「スタンディングマルタン」、「アイリッシュマルタン」の3つです。
まずは一番メジャーなビブマルタン
三角の物が前側についてますよね、これがビブマルタンです。
手綱以外の付いている物を一式でマルタンなのですが、これを装着すると手綱が無駄に横に開きすぎたり上がりすぎたりせず、また馬が立ち上がろうとするとピンクの部分がピンと張って立ち上がるのを軽減します。
これの3角形の部分がなく、もう少し横に開きやすいものをスタンディングマルタンといいます。
今では9割以上の厩舎で標準装備として使っています。
これをどうして競馬で使わないのか、というと・・・簡単に言うと、補正器具って人間のスポーツでも本番では装着しないですよね?それと同じです。それに競馬では結構、騎手は手綱を横に開く場面があるので使いません。その代わり、すごくシンプルな物で代用するときもあります。
左右の手綱に橋渡しして装着するだけのアイリッシュマルタンです。
元々は障害レースで落馬したときに、手綱が馬の顔の前に垂れ下がるのを防止するためにアイルランドで発明された馬具です。通称「メガネマルタン」です。
これも好みがあって、四位騎手などは絶対に付けないで、と言いますし、岡部さんには「絶対に付けろ」と言われました。馬具も人それぞれの好み、スタイルがあります。
また馬の首の根元についている輪っかは「ネックストラップ」といいます。
これは暴れ馬や立つ馬などに使います。
いざというときに手綱を引っ張りすぎて転倒したりしないように乗り手はこのネックストラップと手綱を半々で掴んで対処します。
また、ハミの下の部分に左右のハミを橋渡しする道具で「カップラン」というのがあります。
これは左右のハミがズレやすい馬などに使います。
といった感じに色々な馬具があります。すごくシンプルに説明したので説明不足の部分もありますが、だいたいの感じで覚えればいいかと思います。
実際、効能も名前も知らない・・って人、トレセン内にもたくさんいますから。って言ったらまた怒られるかな?
オマケで共同通信杯号のギャロップにサクラスピードオーがクマのようないでたちで紹介されていました。
サクラスピードオーは僕が調教厩務員時代、サクラローレルと共に担当していた相棒です。
気性が激しかった、と書いてあるけど・・・・すごくおっとりしていて手のかからない子だったなぁ。
何で気性が激しいって書いてあんだろ??慢性的に腕の部分が痛い馬だったけど、ホント利口な馬だった。
サクラローレルと共にサクラスピードオーも典ちゃんに乗ってもらってたから典ちゃんサマサマでした。
そうそう、武勇伝と言えば・・・・
小学生の頃って登校班ってありましたよね。あれは小学生の中の小さな社会でした。
登校班の班長さんは普段もエライのです。まぁ、総理大臣のようなものです。
ある日、班長が公園で「おい良太、ドングリ食うべ」と。班長の言うことには絶対服従です。
早速、焚き火をし、ドングリを焼くことに。しかし、秋の公園は良く燃える・・・・。
燃えて燃えてドングリどころじゃなくなってきた!!
立ち上る煙を発見した大人が消火にきました。そしてしこたま怒られた・・・。
僕は総理大臣に従っただけなのに・・・。
その総理大臣はやがて僕が調教厩務員になって担当した馬の主戦ジョッキーへと変貌を遂げていました・・・。