日本の紅白歌合戦にアメリカ人のリアディソンさんが初出場した。正直彼女がどんな歌を歌うのかも、彼女のこともよく知らない。唯一、NHKの英語でしゃべらないと、という番組で彼女のインタビューを見て彼女のことを知った。
 彼女は、不幸にも幼少時に非常に経済的に厳しく、いろいろな仕事を今までにしてきて、今年日本の紅白にまで出場を果たすいわゆるアメリカン・ドリーム、いやジャパン・ドリームを果たした。
 日本の巷の雑誌などでは、彼女の歌手になる前の写真などがいろいろと話題となっているようだ。彼女がどんな仕事をしていようと、法律に引っかからない限り、私には彼女をとがめることはなければ、批判もするつもりもない。
 一方、日本ではお笑いタレントの麒麟が自身の貧しい体験を描いた『ホームレス中学生』が話題となった。日本にもこういう人がいたのかという驚きと近年日本で多くなった若いフリーターの人たちのある意味、共感ならびにまだ自分よりも下の人たちがいるというある種の安心を与えたことが大ヒットにつながったのではないかと分析をしている。
 話をアメリカに戻すが、アメリカではこれだけの先進国にもかかわらず、はじめに登場したリアディソンさんのような苦労人がたくさんいて、多くの人たちはそこから這い上がろうと貪欲に日々生きている。それがある種の社会のダイナミズムを生んでいるのだ。
 日本では、国民が望んでいるのかいないのかはよくわからないものの、確実にアメリカ型社会に近づいているように思える。ただ一番の問題は、日本が向かうべき方向に対して国民の合意が形成されていないことなのではなかろうか。
 2008年は、ぜひ日本国内にて格差や年金などこれからの日本のあり方に関して大いに議論がなされることを期待する。
                                         2007年末日。