日経ビジネス10月1日号のリスクを牛耳るという特集の中に、日本の中堅ノンバンクグループの会長嵜岡氏の中国事業の事例が書かれていた。
 彼が言っている事はまさに小職が感じている事を軌を一にし、大変興味深く読んだ。彼は、2004年に中国でリース事業と不動産投資に乗りだした。中国では格付け会社はおろか、信用情報もなく、決算所すら当てにならない。そんな中、中小企業とリース契約を次々と結んでいった。周りは、彼を狂気の沙汰としてみていたらしい。そんな中彼は、「日本に閉じこもっていれば安全なのか?」「人口や企業数が減り続ける日本にとどまっている方がよほど怖い」と言っている。
 また、さらに彼は中国リスクをいかの様にねじ伏せる、という。「1.工場へ行け、社員に会え。現場は正直だ。2.ホテル住まいでは認めてくれない。3.中国人社員の地縁、人脈に頼る。4.日本人社員を鍛えてもらう。5.注がれた酒は全部飲む」
 どれも厳しい海外にて鍛えられている氏の発言は非常に重みがある。特に2.のホテル住まいでは認めてくれない、と言うのは小職の経験からも同じように感じている。一般的に出向者が海外に行くと、いわゆる外国人向けの高級住宅街に住み、現地の人たちがどのような生活を営み、どのようなニーズがあるのかわからない。さらには現地の言葉も覚えないので現地の人たちと親交を深める事もできないため、社内においてもお客様扱いで出向期間を終えるのだ。 
 海外で本当に仕事をするのであればそれぐらいの気持ちで行かなければ本当にビジネスは根付かない。これから海外に出る日本人はそのような覚悟がなければならないのではなかろうか。