今日私にとってとっても重要な人に久しぶりに連絡をした。その人とは、11年前、初めてメキシコへ留学した初日に、右も左もわからない中、カフェテリアでたまたまお会いし、そこで住む場所やメキシコでの生活などをいろいろとアドバイスをいただいた人だ。
 海外で生活をするようになると、当然自分の周りに家族はいない。自分の周りにいるその国に住む人たちは当然のように家族がいる。改めて家族とはなにか、ということを考えさせられる。海外に住む事で、いろいろな出会いがあり、その中で親しくさせてもらう人たちができ、彼らを家族のように思ういわゆる擬似家族的な関係が出来上がる。これは、日本にいるとこういう関係は当然構築される事はない。
 われわれ海外で生活する「外国人」の宿命は、ずーとその場所にいるわけではない、ということだ。私も上で紹介した人とも結局はたった1年しか同じ街にいることはなかった。しかし11年たった今でも、私はその方を自分の母のように慕っている。
 人間とは結局弱いものだ。一人では生きていけない。今こうやって海外でそれなりに生きていけるようになったのは、彼女を含むたくさんの友人たち、そしていまは最愛の妻があってのことであり、さらには日本にいる家族のサポートがあってのことだ、と改めて感じる。
 海外で生活するためのカギは、いかにこの孤独を克服するか、ということかもしれない。