先日トヨタ自動車の営業利益が2兆円を越える、という記事を読んだ。まさに、トヨタの現在の強さを象徴するような記事である。現在のトヨタの強さは周知の通りで、疑いの余地がない。
 日本の自動車産業の発展は、総合的品質経営(TQM)に集約されるとおり、大量生産における徹底的な品質管理と、強固な系列構造、特にその中小企業の技術力の高さ、匠に支えられてきた。この成長モデルは、先行している欧米自動車企業をキャッチアップする発展段階においては、非常に有効で、世界中の消費者に壊れない・故障の少ない車として短期間で受け入れられ、現在の日本の自動車産業の地位を築いた。
 今年トヨタが全世界自動車販売において世界ナンバー1のGMを抜かす事がほぼ確実となっている今こそ、今後の日本の自動車産業の発展・成長モデルについて考える必要があろう。
 もちろん、今以上により品質を追求するとともに、世界的なコスト競争に打ち勝っていく事はもちろんであるが、日本の自動車企業は以前のように、欧米企業の二番煎じというわけにはいかない状況にある。
 日本では、トヨタ自動車がハイブリッド技術で環境分野・省エネ分野で先行しているように見えるが、世界的に見るとその技術は決して世界標準になっているわけではない。むしろ欧米ではディーゼルあるいはエタノールなどの代替エネルギーへと関心は移っている。
 技術は日々進歩し、今日の標準が明日も標準か?といえば必ずしもそうではない。企業は、その成功に安住してしまうと、将来の競争に遅れてしまうというケースが今までにも幾多も起こってきた。
 日本は少子化、大量の団塊世代の退職、中小企業の収縮と、日本の製造業の基盤が急速に崩れてきている。そのため、従来のビジネスモデルは早晩崩れることは明らかだ。そんな中で、日経自動車産業が生き残っていくためには、いち早く、将来を見据えたビジネスモデルを確立し、新しい分野・技術に対し、失敗を恐れずチャレンジしていくような環境を早急に整え、成果を出していくしかないであろう。