家族との話はそれから何度か話しに行ったが、相変わらず聞く耳を持ってもらえなかった。
だけど、僕の問題は家族だけの事ではなかった。
次の課題は仕事の事だった。
身体が不自由になっただけではなく、【原因不明の難病】という病気も持っている僕は、その日毎に体調のチェックをしなければならない。
今日、調子が良かったからといって明日も同じように動けるとは限らない。
こんな状態で仕事なんて、出来るのだろうか？
今までと同じようには、動き回れない。 「24時間365日、いつでも小回りが利く」というのが『僕のセールスポイント』だったのに、今はそれができない。
仕事を請けてしまってから、「身体の調子が悪くなったんで、できませんでした。」なんて子供じみた言い訳は絶対にしたくない。
お金をもらっている以上、どんな仕事を引き受けてもそれはプロでなければならない。
元々、自分で仕事を始めた時から自分流のやり方でやろうと決めていた。
・ 請けられる仕事とそうでない物をはっきりして、請けた仕事に対しては、一切の妥協も言い訳もしない。
・ 肩書きや会社名じゃなくて、自分自身を信用してくれる人と仕事をしたい。
・ 名刺を持たない代わりに、全ての時がチャンスであり真剣勝負でなければならない。
・ 信用されるのも難しいが、信用され続けなければ意味がない。
・ 一度や二度、自分の思った通りの答えが返って来なくても、信じ続けてコツコツやって行けば必ず伝わるはず。
・ また会いたい。 なるほどと思われる人間になろう。
今まで学んできた事からの自分への教訓だった。
そして、前の会社の社長や前からのお付合いのあるクライアントさんのおかげで何とか忙しい位に仕事をもらえる事ができたのだった。
仕事を立ち上げたばかりで、しかも何の肩書きもないフリーの身の僕にとってはもの凄い運のいい事だった。
信念は変わらないものの、今は身体が行動が伴っていかない。
今の僕に出来るそんな都合の良い仕事なんてあるわけがない。
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