いつもの部屋に戻ってきた。
病院から退院する度に、気持ちが重くなる。
直ぐに、ベッドに横になった。
(これからどうしょうか。。。)
答えのない出口を探すかのようにただ呆然とその言葉だけが、頭の中をグルグルと回っていた。
そして、決まって出てくる感情は、
「何で俺はこんな病気になっちゃったんだろう。。。」
と、ため息ばかり。
体の疲れもあったが、それよりも頭で考える事に疲れてしまったようで、気がついたら眠っていた。
目が覚めたら、すでにもう夕暮れ時だった。
「あーあ。もうこんな時間か。。。」と思ったが、病院のカーテンで仕切られた空間と違い時間が進んでいくのがわかるだけでも気分はましだった。
起き上がり、トイレに行こうとしたが、ベッドからトイレまでの距離がまた少し遠くなった気がした。
トイレからベッドに戻り、携帯をチェックした。
その中の、1本のメールが、今まで途方にくれていた、僕の心を癒してくれた。
『一ヶ月間、お疲れ様でした。あなたにとってはまた辛い日々を送って来たのでしょう。
でもその中で、また何かをきっと掴んで帰って来たでしょう。
転んでも只では起き上がらない人だから。
また少し自由が利かなくなったと書いてありましたが、これからの事も考えて、気分転換にでも家の中を整理してみたらいかがですか?
今迄は気付かなかったものが突然、あなたにとって障害物になる事も考えられます。
この1ヵ月で何かあったら、直ぐにメールをください。
夜でも携帯は枕元に置いておきます。
くれぐれも無茶をしないように。。。
ゆみえ』
突然の入院だったため、退院する時に何人かの人には、迷惑をかけたお詫びのメールを入れといたのだった。
その中で帰ってきた、メールの1つがこのゆみえからのメールだった。
「今となっては、本当にみんなに助けてもらっているんだな。」
「もう一人で何でもって訳にはいかないんだな。。。」
散々やりたいことやって、言いたい事も言ってきたのに、こんなにもたくさんの人が助けてくれる事に本当に感謝する気持ちと、今迄の自分とはもう違うんだ!という切なさが全身の痛みと共に、薄暗くなった部屋でベッドに一人横たわっている僕を包んでいった。
「なんとかなんねーかな!」
ポツリと独り言をつぶやいてみた。
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