入院してから初めての週末がきた。
入院生活の中で週末程、退屈なものはなかった。
週末は検査がない。

それに外出許可のでる人は家に帰えれるし見舞いに来る人も多いのだが、僕は入院をしている事すら最低限の人にしか伝えていない。
それもわざと遠距離の人を多くした。

前にも書いたが、検査入院くらいで大げさにいろんな人に心配をかけたくなかったから。。。
だから、見舞いにくる人なんていなかったかお

がらんとした病室の中で、たまに聞こえる笑い声や話し声が無性に僕を孤独にさせた。
だからと言って、僕はその部屋から逃げ出す事もできない。
持ってきたMDをただひたすらに聞き続けたかおルンルン

この頃になると段々と同じ病室の人のキャラがわかってきた。
会計士さんは、金曜日までは夜までコンピューターで作業をして金曜の夜に外出する。
この人はあまり他の人と接触をもたない。

糖尿病のAさんは、良くいる不良患者。
看護士にちょっかいをだしたり、言いつけを守らないでいつも起こられているが、よほど退屈なのだろう。。。
何度言われても懲りない。

もう一人の糖尿病患者のSさんは神経質だが、人懐こい。
僕はこの人のお陰で話し相手はできたが、朝5時に起こされるのは辛かった。

病院の食事も美味しいと思えたのは初めだけだった。
味がない!!
何を食べてもみんな同じ味のようだった。
これでも普通食か?とおもえるくらいに。。。

僕が唯一知り合いと接触できるのは、1日30分程度(しかもお天気の良い日だけに限られるが。。。)
車椅子で裏庭まで連れて行ってもらって、携帯でメールや電話をする時だけだった。

こういう時に、携帯は便利だ!
身体は動かなくても声だけは元気だから、相手には病気だとは思われない。
仕事の件も、ある程度はメールと電話でやりとりする事ができる。

何よりも、カーテンで囲まれた最低限の空間から抜け出して外の空気を吸える開放感がある。
限られた時間だけの、心の開放と人並みの生活のふり。

ゆみえは時間がある限りメールをくれた。
今日は何を食べたとか友達の事とか、たまに電話をかけてもまるで僕が病人じゃないようにその事には一切触れずに、電話の向こうでよく笑っていた。
その気持ちが僕にはたまらずにいた。

(そんなに無理をして笑わなくても。。。)

と言いたかったが、そんなゆみえの気持ちを踏みにじることは僕にはできなかったし、そんな心遣いが僕の支えになっていた。

裏庭の住人達とも何人か知り合いになった。
みんなどんな思いで入院生活をおくっているのだろうか?

健康な人にはわからない、その人達それぞれの背負っているいろいろな人生の重さのようなものを垣間見るようだった。


                                                 よろしければ、応援クリックをお願いしますベル 右下矢印

『終わらない歌を歌おう クソッタレの世界のため
終わらない歌を歌おう 全てのクズ共のために
終わらない歌を歌おう 僕や君や彼等のため
終わらない歌を歌おう 明日には笑えるように

世の中に冷たくされて 一人ボッチで泣いた夜
もうだめだと思うことは 今まで何度でもあった
真実の瞬間はいつも 死ぬ程こわいものだから
逃げだしたくなったことは 今まで何度もあった』

 

真島昌利, 甲本ヒロト, ザ・ブルーハーツ
THE BLUE HEARTS BOX