旅行から帰ってから2週間。
左半身の脱力と痛みはあるものの、なるべくそれを隠して仕事をしていた。
体調はいっこうに良くなる気配はなった。
それどころか、指までもが自由に動かなくなってきた。

それと、以上に喉が渇く。
昔から水分は取る方だったが、一日2~3リットルの水分を取るようになった。
後でわかった事だが、筋肉が萎縮する際に細胞が水分を必要とするらしい。
その為に、のどが渇いていなくても、水分を取り続けなくてはならない。

1週間に1度、M総合病院で検査を受けて、院長もいろいろと薬を試してくれるが、それでも気休めの息を出なかった。
そして、左手の握力が10Kgをきった時は、左足のにもほとんど入らなくなってきて引きずるようにして歩いていた。

それでも、この時はなんとか歩いて通院する事はできたし、身体の不自由さはあっても仕事をすることはできた。
ただ、段々と身体の疲労度が増していくのがわかった。
こんな時に、ニュートンが地球に重力があることを発見した事を改めて感じた。
僕の身体はその重力に勝てなくなってきていたのだから。。。

どんなにしんどくても、家に帰ると直ぐにコンピューターを点けた。
自分の症状と似たような病名がないか、治療法にはどんな方法が探しまくるのだけは怠らなかった。
何としても、治したかった! 治りたかった!

この時点で、家族は病院に通院しているのでどこか悪いのだろうと思ってはいたのだろうが、なるべく普通に装っていたので、ぼくがどこが悪いのか、どのような病気かは知らなかった。

友人にも何だかわからない以上、余計な心配をかけたくなかったので誰にも言わなかった。
僕の友人は人が良すぎる。
きっとそんな状態だと話したら、自分の事の様に大騒ぎになる。

(まずは自分のできる所までは、なんとかしよう。今迄だっていろんな困難を乗り越えて来たのだから、今回だって。。。)

ずっと、そう自分に言い聞かせていた。
ただ、脱力感と痛みで、じわじわと身体が動かなくなって行くのには焦りと不安を抱えだしていた。