朝はなんか爽やかで、でも爽やかだったのは朝のほんの一瞬のことで、すぐに暑さが襲ってきた。
雲は多い。
市民総合体育館での修行は、まだ耐えられる蒸し暑さではあるが、新型コロナウイルスへの対策もあり、あちこちの扉や窓を開け放していることで、息苦しさはそれ程でもない。
しかしマスクを着用しての清掃作業は、辛いと言えば辛いし、息苦しいことこの上ない。
でもマスク着用は感染予防の基本なので、しないとね。

大規模なコンサートを開くこともままならず、小さなライブハウスでの活動も制限されているミュージシャンたちも、苦境の真っ只中だろう。
政府は〝Go To トラベルキャンペーン〟ばかりに力を入れているようだが、業種を問わず手助けが必要なことを解っていない。


合掌。
日本でも大ヒットした『幸福の黄色いハンカチ』の原作者で、ボブ・グリーンと並んで僕の文章の先生(僕が勝手に思ってただけだが)だった。

エッセイやコラムの本質は、そこに描かれる人や事象を、いかに自分の眼と感性で捉えられるか、だと思う。
出来事を文章にするだけなら小学生でも出来るが、そこに〝機微〟を感じられるかどうかが、優れた作家と凡庸な文章書きの差なのだろう。

まあ凡庸は凡庸なりに書き続けるしかないのだろう、と思いながらの今日の散歩、7.7km。


ずっと雨続きで、僕が外の散歩をしなかったものだから、虎之助も仕方なく家に閉じこもっていたのだが、久し振りに今日は外へ連れ出した。
日中は暑かったが、夕方の風は暑さを含んでなく、気持ちのいい風だった。

近所には〝文理の坂〟と呼ばれている200メートル程の坂があって、〝文理〟の名の元になっている、坂下にある私立学校の中学生や高校生が、その坂を自転車で上り下りしている。
散歩している虎之助に、
「ペンギンは自転車に、乗れないよね」
って訊いたら、
「〝乗れない〟じゃなくて、〝乗らない〟のさ」
との答えが返ってきた。

〝乗れない〟と〝乗らない〟に、どれだけの違いがあるのか、僕には解らなかったが、胸を張って「乗らない」と言う虎之助を、もしかしたらこいつはペンギン以上の何者かではないかと、そう思いながら沈む夕陽に見守られながら家路についた。