「お願いしま~す」


「おぉ…ジョングガ…?」


PDニムが驚いて目を見開いてる。


「……こんにちは…」


ミナの人見知りが…

僕のズボンをぎゅうぎゅう握って

半分僕に隠れながら

小さい声で

それでもちゃんと挨拶していた。


「こんにちは、ミナちゃん?」


「…はい……」


PDニムは最初はミナを見て

驚いた顔をしていたけど

モジモジしてるミナの様子に

今はもうデレデレだ。


今日のミナはホビヒョンコーデで

フワフワな金髪にポップな服は

一段とかわいい。


しかもヒョンたちのぬいぐるみの中から

小さなウサギを連れてきていて

不安なのか腕にぎゅっと抱いている。


あぁもう抱っこしてあげたい。


「ジョングガと一緒に来たの?」


「…はい…」


「静かにしてるのでミナも一緒に見ていていいですか?」


「もちろんだよ。ミナちゃんは大丈夫?」


「グゥとやくそくしたから…」


「じゃあ後ろのソファーに座ってる?」


「…はい…」


「合図をしたら録音するから静かにしていて、ジョングガがヘッドホンを外したら話したりしてもいいんだけど、出来るかな?」


「…はい…」


「ミナごめんね。早く終わるように頑張るね」


「グゥのうた、いっぱいききたいから…だいじょうぶ」


ん~~ミナにそんなこと言われたら

僕は頑張っちゃうよ。


PDニムもますますデレデレして

机に飾っていたアニメのキャラクターの

キーホルダーをミナにあげていた。


「ありがとございます」


「どういたしまして」


「グゥ、もらったよ」


「良かったね。つけてあげようか?」


「うん」


ミナのズボンのベルト通しにつけてあげる。


鈴もついてるからミナが動くと

チリンチリン鳴る。


楽しいのか体を振って鈴を鳴らすミナ。


「あっ!グゥどうしようっ!」


「どうしたの?」


「しずかにしないとなのになっちゃうっ」


「大丈夫、鈴を握っていればいいよ」


「こう?」


握って体を動かす。


「ほんとだ…」


「小さな音なら大丈夫だよ」


「よかった~」


PDニムがニコニコしながらこっちを見ていた。


「始めますか?」


「始めるか~」


何度か部分的に録って

僕はヘッドフォンをしているから

音楽が聞こえているけれど

ミナは僕の声しか聞こえないから

退屈してるだろうなと

ミナを見たら

すごくキラキラした目で僕を見ていた。


「ミナ退屈じゃない?大丈夫?」


「グゥのこえすごい…。いろんなこえでうたってるの?おはなしするときのこえとちがうからふしぎ…」


「声の出し方が違うんだよ」


「ぼくもできる?」


「練習をたくさんしないと出来ないな」


「れんしゅういっぱいしたの?」


「したよ。今も毎日してる。もっともっと上手くなりたいからね」


「グゥじょうずだよ?」


「ありがとう」


「グゥのこえ…がっきみたいだね…。もっとききたい…」


「そう言ってくれると、すごくうれしいな」


僕たちが話しているのを

ニコニコしながら聞いていたPDニムが


「ミナちゃんは歌が好きなの?」


「グゥのうたすきですっ」


ミナもPDニムに慣れてきたみたいで

ニコニコしながら言うから

PDニムもまたニコニコになる。


レコーディングは煮詰まったりすると

ピリピリしちゃう時もあるんだけど

ミナがいると癒されるなぁ。


せっかちな僕もゆったりしてしまう。

すごく平和だ。


「さっき一緒に歌ったよね、ミナ」


「うんっ。1、2、3~♪…」


「2、3か~。ミナちゃんの声かわいいね」


ミナは声だけじゃなくて

全部かわいいんだよ。


でもミナが誉められると僕もうれしい。


「グゥまだうたうの?」


「うん。もうちょっとだよ」


「もっとうたってっ」


「ふふっ、いいよ。でも飲み物なくなったからお水持ってくるね」


「ぼくおつかいできるよ?」


「隣の部屋の冷蔵庫だよ?わかる?」


「わかるっ」


「じゃあ、おつかいお願いしようかな?」


「うんっ」


「ミナも飲みたいの持ってきてね」


「は~いっ」


元気よく返事をして

鈴をチリンチリン鳴らしながら

張り切って行ったミナ。


大丈夫かな?


心配しているとPDニムに笑われてしまった。


「クスクスっ…。ずいぶん過保護だな~」


だって目が届かないと

気になって仕方ないんだよ。


「ミナちゃんの声、ちょっと録音してみたいな」


「僕、録りました」


「あの声をジミナの声と合わせてサンプリングしたらおもしろいんじゃないか」


「使いませんよ」


「えぇ~っ、どうして?」


「もったいないから」


ミナの声も

ジミナの声も

そのままがかわいいんだ。


それに貴重なミナの声は

他人に聞かせたくない。


「どうしても?」


「ダメです」


そんな話をしていて


「ミナが帰ってこない…」


「そういえばちょっと遅いね」


「ちょっと見に行ってきます」


「心配だから僕も行くよ」




なんだか胸騒ぎがする。


やっぱり一緒に行くんだった。


ミナ大丈夫かな…