「そうだ…ジミナにおまじないしてあげるよ」


「なに…またおまじないって…」


「ん~……ペン貸して?」


「ペン?……そこの…引き出しに入ってる」


「……あった。…じゃあシャツ脱いで」


「???」


「いいから!ほらっ…脱いで!」


「……脱いだよ」


「ジミナ…動かないでよ?」


「うん……」


「………ちょっ…くすぐったっ…くすぐったいっ…なんでそんな脇に書くんだよっ」


「…もうちょっと……出来た!」


「何書いたの…え?…NEVER MIND……これ…前にパフォーマンス用に書いたやつだ…」


「うん…あれカッコよかったよね…本当のタトゥーみたいで。…ジミナにこの言葉を僕が刻んだから…もうくよくよ気にしない!」


「……すごく…いいね…ありがと…グク…」


「えっ?ジミナ…泣かないでよ…嫌だった?ペンだから…洗ったら消えるよ?」


「違うよ…もう…これ…消したくないよ…このまま…消えなきゃいいのに……」


「僕がおまじないかけたから…消えても大丈夫。もう心配しなくていいんだよ」


「ふふっ…そうだね…ありがとう。お礼に僕も…おまえに書きたいな…書いていい?」


「いいよ」


「腕貸して……」


そうして…ジミナが書いたのは


“RATHER BE DEAD THAN  COOL”


僕の人生の…座右の銘


「覚えててくれたの?」


「うん…忘れられないよ…」


やっと笑ってくれた。


「かわいい顔に似合わずロックなやつだなって思ったんだ。あと…おまえ…昔からタトゥーに憧れてて…なんだろこいつって。なんか…どんどんおまえのこと知りたくなったから…すごくよく覚えてるんだよ」




ジミナは


僕のことを昔からちゃんと見ていてくれて


決して…馬鹿にしたり


頭ごなしに反対するようなことは


言わなかった


間違っている時は叱られたけど


納得できるように話してくれた


素直に聞けなくて…反発もしたけど


子供だった僕をあきらめないで


理解しようとしてくれた


僕が大切にしなければいけない人なんだ




「あっ…あとあれも書きたいな…おまえに」


「なに?」


「Young Forever」


「それもいいけど…僕…あれがいい。ジミナが前にパフォーマンスの時に書いてたやつ」


「花様年華?」


「うん…あれも…カッコよかったな…」


「漢字…うまく書けるかな…」


そうして書いてくれた…ちょっと不恰好な…“花様年華”にジミナは…


「おまえの花様年華が…いつまでも続きますように…」


そう言って口づけしてくれた。


「僕も…これ…消したくないな…」


「ふふっ…こんな下手くそな文字…残しちゃダメだろ…一生恥ずかしいよ」


「そうかな?ジミナが書いてくれたって自慢するけどな」


「ふふふふっ…馬鹿じゃないの…もう…」


笑った顔がかわいくて…思わずチュッ…っとキスしてしまった。


「しょっぱいよ…」


「だって…いっぱい…泣いちゃったから…」


顔のあちこちにキスする。


チュッ…チュッ…


「ふふっ…全部しょっぱい」


「もうっ…くすぐったいよ…。犬が…じゃれてるみたい…」





ジミナは笑ってる時が一番かわいい


僕の今のこの愛おしいという思いも


ジミナの涙も


泣いた後のすっきりした優しい顔も


タトゥーみたいに残ってくれたらいいのに


この瞬間をいつまでも忘れないで


また鮮明に思い出せるように