まずはジミナが行きたがっていた…ジミナの好きなブランドで世界一広いらしいショップへ……

カメラで撮影する許可は事前に連絡してとっておいたから…遠慮なくジミナを撮りながら見て回った。

お店の中は…広くて真っ白で…鏡がたくさん。

撮影していても面白くて楽しい。



楽しそうに洋服を見ていたジミナが…

「グク…これ!これ着てみてよ」

「え?…僕?」

「うん」

仕事以外では着ないようなジャケット…

「グクの私服はブカブカなのばかりだから、やっぱりキチンとしたのもあった方がいいよ。ドレスコードのあるお店もあるから…この旅行のお礼にプレゼントさせて」

「ジミナ…ありがと…」

「ふふっ…実は僕好みの服をおまえに着せたいだけなんだけどね?」

ニヤニヤしながら僕が試着するのを見て

「うわっグク似合う…カッコいい…」

「///////////」

東京は思ったよりも夜寒いからと…ジミナは自分のインナーも買って…お店を出た。



「お腹すいた~」

「次はご飯に行こう」

「どこに行く?」

「ジミナが好きなの…ビックリするよ」

携帯のマップを見ながら調べておいた店へと歩いて向かう。



歩いていると「あれ…ジミンじゃない?」という声がすれ違った人から聞こえた。

やっぱり…気付かれた……

気付かれる時はほとんどジミナから。

その次に隣の僕を見て僕が気付かれる。

ジミナは『いま金髪だから目立つのかも…黒く染めてきたら良かったな』と言うけど…そうじゃないと思うんだ。

東京は…思ったよりもたくさんの外国人が普通に歩いているし、それを特に気にする人はいない。

ジミナは舞踊をやっていたから…立ち姿や歩き方が普通の人とは違って…とても綺麗なんだ。

スタイルも頭が小さくて細くて足が長いし…やっぱり普通じゃないと思う…ジミナは綺麗。

それで多分すれ違う人たちも…なんとなく見てしまって…次に顔を見ると…帽子で隠れていても…あの僕も好きな口唇が印象的で…それにお餅みたいな白い肌…ジミナは綺麗でかわいいから……それで『あれ?ジミン?』となるんだと思う。


最初は二人で街を歩くことに少し不安もあったけど…東京の人たちは…僕たちに優しかった……

どこまでも追いかけてきて付きまとうような人たちも…いつでも僕たちのスキャンダルを狙っている記者たちも…ここにはいない。

声をかけられても『プライベートだからゴメンなさい』と言って写真もサインも断ったのに、みんな笑顔で『楽しんで下さいね』と言ってくれる。

道を訪ねた時も…親切に教えてくれた。



すごく自由だと感じた。

僕たちにはいつでもたくさんの制限があって…一人の時間もあまりなくて…今まではその中からわずかな自由を見つけるしかなかったけど…

だから…デビューしてからこんなに自由だと思ったのは…初めてかもしれない……

ジミナも僕がカメラを向けても…何も飾らない…普段の…僕の大好きな穏やかな表情で…すごく楽しそうに歩いている。

来て良かった…心からそう思った。