以前は…腕相撲対決をジミナとよくしていた。

といっても…初めはジミナからやりはじめて

それからいつもジミナから挑んできて

ジミナがいつも負けて

やるたびにジミナが落ち込んでいたんだけど……



僕の身長がジミナを追い越したあたりから

ずっと続けていたから

僕たちの腕相撲の歴史は意外と長い……



そういえば…今はあんまりしなくなった……



数えきれないほどの勝負の中でジミナは一勝


それも僕の手首を掴んでやった時だけ……




そのうち…腕相撲に…

僕がほとんど力を入れなくなってから

ジミナも勝負というよりは

仕事の合間になんとなく僕と遊びたい時なのか

僕の手を握って腕相撲の形にするんだけど

自分から負けて

ニコニコ楽しそうに僕の手を握ってるだけの

遊びになった……




そして…最近のジミナのお気に入りの勝負は…


いわゆる…お姫さま抱っこ



ジミナは僕を持ち上げられないから

僕が抱っこするんだけど……



ジミナが僕の肩に腕をかけたら

それがスタート

ジミナが軽くジャンプして

僕がジミナを抱っこ出来なかったら

僕の負け




でもこれは僕にとって…

とっても難しい勝負



抱っこが成功して

ジミナの負けなのに

ジミナが喜ぶ時もあれば

負けた…と口をとがらせる時もある



抱っこが失敗して

僕が負けたと

ジミナが喜ぶ時もあれば

何で抱っこしてくれないんだよ…と

口をとがらせる時もある



え?これは何の勝負なの?



最初の頃は

ジミナのその気持ちがわからなくて

僕は戸惑っていたけど

 

ある時…

あれ?今は遊びたいだけ?

あれ?今はくっつきたい気分?

甘えたかったの?…と



なんとなく後でわかるようになってからは

僕にとって

とっても難しい勝負になった




仕事中は

甘えたりを我慢しているらしい

ジミナが考えたかわいい勝負は



僕にとっては

その時のジミナの気持ちがわかっているかの

難しい勝負になっている……



今日は同じ事務所のイヒョン先輩の企画で

カメラが入っていて

スケジュールを一つ終え

休憩していたら

突然ジミナのゲームが始まった……



あっ…

カメラがあるからまさか来ると思わなかった

油断した

片足しか掴めなかった…



「僕の勝ち」


……今日はそっちか……

悔しいから…すぐ降りたがっていたジミナの片足を掴んだままでいたら…

「降ろして」

はぁ~失敗だ……

ジミナを離したけど

ん?あれ?でも…淋しそう?

誤魔化すみたいに「行くよ~」ってさっさと行ってしまった……

なんだか…最近のジミナは素直じゃない……

なんだか…昔に戻ったみたい

どうしたんだろ…




帰ってから

さすがに今日のジミナが気になって

聞いてみた……



「ジミナ…最近どうしたの?」

「何が?」

「なんか…仕事中…あんまり目を合わせてくれないよね……今日も…少し変だったし…」

「………何でもない」

「いやいや…変だよ」

「………」

「どうしたの?」

「……言いたくない」

「どうしたの?」

「…………」

「ど・う・し・た・の!」

「……僕…きっと…おかしいんだ……」

「何が?」

「……だって…最近…おまえが……」

「僕が?」

「最近…おまえが…すごく…カッコよく見えるんだ……」

「……?」

「おまえが普段歌ってるのも聞き慣れてるし、おまえの顔だって…見慣れているはずなのに……髪切って雰囲気変わって…なんか昔に戻ったみたいでドキドキしちゃったり、昔を思い出して急に淋しくなったりするんだよ……僕…頭がおかしいのかも……」



この人は…

こんなこと言って

僕を狂わせたいのかな……



「それなら…僕だって…ずっと…頭がおかしいよ」

「グク?」

「今でも誰かがジミナにさわるの…すごくイヤなんだ……顔に出さないようにしてるだけなんだよ……ジミナを好きになってから……僕も…頭がおかしいよ」

「僕だけじゃない?…変じゃない?…」

「……大丈夫だよ…おかしくなったら…不安になったら…こうしたらいいんだよ……」


ジミナのおでこにポッポ……


「……何かおまじないみたい…グクが『大丈夫』って言ってくれたら…大丈夫な気がしてきた…」


「ジミナも僕にして?」


ジミナは僕のおでこに届かないから

僕の腕に乗せて抱えあげたら

ようやく安心したみたいに笑ってくれて

僕のおでこにも

おまじないしてくれた……