「ベルヌ全集-06-カルパチアの城」ヴェルヌ(ジュール)/安東次男訳(集英社)
http://k-pj.com/ob/ddata/detail.cgi?df=Rother&dp=4-08-&db=jp56006387-a&dn=M15 

1892年発表。
完全邦訳されたのは、上記書誌、1968年集英社のベルヌ全集が初。

トランシルバニアの古城に現れる幽霊の話しなのだが、
じつはそれが、電気映像によるものであったという物語。
実にヴェルヌらしい。

それはまぁおいておいて、この電気映像。これまで映画として理解・説明する人が殆どなのだが、
どうも私にはホログラムのように読めてしまえたのだ。

ヴェルヌの解説は勿論無い。
状況の描写だけ。

が、記述している内容がどうも立体虚像であって、映画のような平面動画とは思えない。
と云うわけで、忘れない内に記しておこうと思った次第。

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ジュール・ヴェルヌ1828年生1905年没77歳
50年100年更に遠い未来を想像した作家。
今科学の恩恵を受けている我々が、ヴェルヌの様に、これから50年先100年先を想像できるかと云えばかなり疑わしい。
むしろ「科学」と称する幻覚、即ち「自称科学」に翻弄されていると云う方が当を得ている。
ヴェルヌはウェルズと異なり、タイムマシンのような、幻想未来小説は書かなかった。
それ故、幻想未来小説ではなく空想科学小説、サイエンス・フィクション(SF)の父とよばれる。
当時にあって、科学が人々に幸福をもたらすものであることを信じて疑わなかった作家。
とりわけ電気の可能性を夢みていた。
ヴェルヌが今の原発事故を見たら何を語るであろう。

子どもの頃に読んだ「月世界旅行」、その中で強く印象に残った描写。
「人の価値は暇なときに何をしているかで解る。寝ているか、本を読んでいるか、おしゃべりをしているか」と云ったような内容だった。

ヴェルヌの墓誌には「不死と永遠の若さへ」と記されているという。