人間ドラマを書いた短編集です。
角田さんの短編は脱落系というかちょっとだらしない感じの人達が、ゆるゆると喪失感を抱えながらも生きてくお話が多いように思います。
文章もやさしく、風邪をひいていても苦なく読めました。
短編集の中の「福袋」というお話は、だらしないお兄ちゃんをめぐる妹の話です。
以下抜粋。
福袋には、生まれ落ちて以降味わうことになるすべてが入っている。希望も絶望も、よろこびも苦悩も、笑い声もおさえた泣き声も、愛する気持ちも憎む気持ちも全部入っている。福と袋に書いてあるからってすべてが福とは限らない。袋の中身はときに、期待していたものとぜんぜん違う。安っぽく、つまらなく見える。ほかの袋を選べばよかったと思ったりもする。それなのに私たちは袋の中身を捨てることができない。いじいじと身につけて、なんとか折り合いをつけて、それらが肌になじむころには、どのようにしてそれを手にしたのかだか忘れてしまっている。
