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水底の月

恋の時は30年になりました 

静かなホテルの部屋の中には

無機質な空気清浄機のモーター音と、上気する息遣いだけが響いた

 

私の高ぶりをそのまま写し取ったような

強く握らなくても、雅治がどう澄ました対応をしてきても

私と同じように上気し、焦らすが故に起こってくるその高ぶりを隠せるはずがない

 

私の手から、外し

構えるように、持つ

 

あてがわれれば

それを飲み込もうと

喉を鳴らすかのように疼いて

 

ほんの少し

それで触れられただけでも、鳥の羽で背中を撫で上げられるように肌が立つ

 

 

「はっ・・・・ん・・」

 

 

 

目を閉じて

その瞬間を、待つ

 

 

 

その日の初めては、たいてい

 

待って待って、待ち焦がれた

数ヵ月の思いの丈のような勢いで

力づくで、そこらへんに散らばる衣服を見もせずに蹴散らすような

熱に浮かされた、まるで理性の効かなさで突っ走り

 

肌を重ねる

それだけがただ欲しくて

一刻も身体を離していたくなくて

噛みつき合うかのように求めあう

 

それは

痛みをこらえかねて震えながら薬の瓶をつかむ、そんな切迫感にも似て

 

 

でも

 

慌てふためかなくても、今日はよくて

今日は「じゃ、また」という言葉は聞かなくていい

 

 

それを代弁するかのように

雅治はゆっくり奥まで入ってくる

張る粘膜はそれを掴み、さらにいざない

私は大きな息をつきながら、高揚感と共に覆いかぶさる重さを噛みしめる

引きちぎるように力を入れ、

 

奥へ

 

 

「あ・・あ・・・・ああ・・・・・」

 

 

熱い湯の中に全身を沈めた

そんな気配の、雅治の焼け絞るような声が部屋に響いた

 

 

 

 

 

 

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