雅治の喉頭筋が絞り出す、唸りあげるような声
それは私だけが高ぶっているのではないことを示していた
雅治の身体が私の中に沈み、また浮き
互いの肌が、ぬめったような鈍い音と共に当たり、離れ、また当たり、背中に回された腕はきりきりと私の身体を締め上げる
「いっ、いやああっ・・・」
何度も塞がれる唇からこぼれる私の悲鳴と、どちらの唾液かわからぬ滴りが一筋、口の端をつたい落ち
それを追うように
雅治の唇は私の喉を這い、首筋へと這っていく
けれどもう、徐々に私が見えなくなるはず
雅治のスイッチも切り替わった気配がした
ヒルが這うように首に吸いつく唇
ちりちりとした痛みに荒々しさが加わった
「雅治・・・もう・・・」
「いいよ、sana・・・ああ、愛してる」
力が入りそうになった私の身体を
雅治は
「愛してる」たったこれだけのフレーズで
また、ぐったりと動かなくさせる
身体は突かれるまま
滴り落ちるままに
私の身体を知り尽くした雅治の動きに合わせるしかなく
「お願い・・・もう・・・離し・・・」
「うん?・・ど・・うして?」
時が止まったような部屋の中で
身体のあちこちに植えつけられた快楽の芽が一気に咲いていく
私の抵抗も、懇願も、全てを子猫の甘噛みのように雅治は捉える
ひくつく私の身体を貫いたまま、私を真っ白にして
雅治の見たい、えげつない痴態をそこに書きなぐる
雅治を身体の奥に感じながら続く享楽
抑えようのない嬌声が、また大きく私の喉から噴き上がった
「お隣の部屋に聞こえるよ・・・sanaのその声に聞き耳を立ててたら、どうする?」
日ごろの取りすましを捨て、腕のなかで狂う姿は、雅治を悦ばせる
娼婦のような熱を発していく私をさらに焚きつけ、自分のものに仕上げていくのを、雅治は好む
何分経ったのか
もうわからない
学会初日の夜
きっと今ごろは、この街のあちこちで
久しぶりの同業者同士が集い、杯を傾け
賑やかな宴が開かれているはずで
「今回は来るのか?入るのは明日?」
さっき、LINEが鳴ってた
本来なら
いや、もう本来も何もかもどうでもよくて
今は
雅治に抱かれる時間
今夜はずっと、ベッドの上
明日も
ふっ、と雅治の腰の動きが止まると
ん・・・と声にならない声を出し、私を抱えたまま体位を変えた
私が上になる
