今日はまだしてない | 水底の月

水底の月

恋の時は30年になりました 

「ん・・・」

 

そっとベッドに戻った私を、眠たげな腕が包む

 

「どこに行ってた・・・?」

 

「少し・・・身体を流しただけ」

 

抱え込み、すぐに違和感のあるように眼を開けると、身体を覆ったガウンをずらそうとする

 

「何?」

 

「いらないって。脱いで」

 

 

邪魔者が入ったかのように剥ぎ、素肌の私を胸に抱く

そしてさらりと触れ、下着をつけていないのを確認するのも忘れない

 

 

 

 

「何時?」

 

「もう1時過ぎよ・・・少し眠ってましたね。もう夜中・・・・えっと」

 

 

 

そろそろ、もう部屋に帰りたいんじゃない?

体内時計は随分なオーバーワークのはずで

 

ただそれを、言うのはためらわれて

 

 

 

一晩中傍にいて一晩中、私を抱いて

目が覚めた時に、隣で私を抱いていて

手の届くところに雅治がいる、そんな夜を過ごしたい

 

 

あえて声高に言ったわがままは、ささやかな本音

雅治にはハードルの高い、それはよくわかっていて

 

 

もういい

さっき、目が覚めた時

雅治は隣で眠ってた

 

でも、おそらく、眠りは浅いはずで

そろそろ、ひとりで休みたいはず
そこまでのリラックスを、まださせられないから

 

 

 

「ん・・・ん?!」

 

 

名残りを拭ったばかりの熱の引いた身体

目を閉じたまま眠ったように見せながら、雅治は私に触れはじめる

眠たげな右手の指は、ゆっくりといつもの場所を捉えていく

 

 

 

「・・・もうこんなになってる。sanaは誘うね、また僕を寝かせないつもりでしょう」

 

 

「今日はもう何度も」

 

「今日はまだしてない。あれは昨日。・・・一晩中ずっと抱いてって、言わなかった?」

 

 

「・・・もう」

 

 

 

「朝・・・起きられるかな・・・」

 

 

「・・・疲れてるでしょう?」

 

 

「でもしたい・・・したくない?したいもの。欲しいよ」

 

 

 

独り言のように呟いて、雅治は布団をずらした

白いシーツの上のふたつの裸体

 

真夜中に

欲しいものをただ分け合い、契り、与え合う

 

 

ゆっくりと愛しあうスローSEX

 

何度も何度も

 

何度も

 

 

 

 

 

 

 

 

にほんブログ村 恋愛ブログ 秘密の恋愛へにほんブログ村
人気ブログランキング人気ブログランキング