「どうだった、試験の手ごたえは」
「うん、落ちることは無いと思う」
「・・・そうか」
2時間の論述試験、問題数は20問近くあった
とりあえず全部埋めた・・・という不安定さではなく、これで落ちてたら受かってる人はいない、という手応えにホッとしつつ、「試験が済んだら声が聞きたい」に繋がった電話に声を発した
「そうか、よかった。結果はいつわかるの」
「・・・うん、2週間くらいかな」
「その後は?」
「朝から晩までの講義が4回。最終試験は心理学講義を教授陣の前で実際に行う、プレゼンみたいな形らしいの。それは9月」
「へぇー・・・大変だ」
この試験準備と同時進行で
私は某大学への編入学準備をしていて
雅治が入院、手術となって
とりあえず、今は術前とかわらぬ時を過ごせているけれど
ずっと今のままでいられる・・・は
考えもしていなかった方向にひっくり返ることを知った
今後
それは、雅治かも知れないし、私の場合もあるかもしれないけど
雅治は笑って否定するけれど
私にとって雅治は昔から、今もずっと眩しいままで
雅治は私の持ちえないものを着実に、正当に積み重ね、今を得ている
それは、別の分野でどんなに違うスキルを身につけても、とどかなくて、掴めなくて、今のような関係であったとしてもずっと憧れのままで
今の私には、学術論文のテーマを考えつく発想も書く術も、実験をまとめあげる統計的素養もない
卒業して、数年経って
「じゃあ、sanaは、今何をがんばっているの?」
顔をあげられなかったその問い
色々ありながら、でも私もいつかはと思った
大学病院ならば論文執筆も学会発表も業務になるけれど、民間病院ではそうはいかない。
環境のせいにするわけではないけど
今まで出来ずに来ていて、悔いが残ってる
ただ、昨年
もう今のような時はそんなに長くないことを知った
雅治が、母校の大学教員でいるうちに
今よりももう一歩、学術的な立ち位置で近くに寄りたい
雅治の今に近づける、学位が欲しい
それは「憧れ」だけであってはいけなくて
ただ単位を重ねて、でもなく、きちんと学び結果として得たい
モヤモヤと、遠くにいる雅治のことを考え上がり下がりするちっぽけさでは「雅治の好きなsana」ではいられない
見守っているよ
試験前に送られてきたあの写真は、私にそう舵を切らせた
他の試験は、毎回「受ける」ことを言ってきたけど
なんだか、これは恥ずかしくて
合格したら言おうって、決めた
編入学の合格発表が届いたのは
それからひと月経った頃で
私の誕生日を、少し過ぎた頃だった
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