自分には中学生だった頃、好きな人がいた。

好きになった相手は運動が出来て、勉強も出来る。そして顔立ちも整っている。

パーフェクトを絵に描いたような人だった。
しかし、神様も全てを与えてくれるわけではなく、1つだけ限りなく大きな欠点を与えていたわけだ。


『性格が尋常じゃなく悪い。しかも、表には出さないタイプ』

しかし、その人と親しいわけではなかった自分は、その人の最大の欠点に気付けるわけもなかった。
仮に気付いたとしても、気づけたとしても、好きな人なら何でも許せる、所謂『好きな人補正』がかかっていただろうから、無意味だったと思う。

人間なんてそんなものだよ。都合の良いように出来てるものさ。




そして、自分はだまされた。
まんまとはめられた。


好きだった人は付き合っていた。
自分は演劇部にいた。

数ヶ月経った今でも、思い出すだけで寒気がする。

どうして、あんなところにいたのだろうか…

あそこでは全てを手に入れた。
が、全てを失ったのもあそこ。

辛いってもんじゃあないさ。

仲間だと思っていた、親友だと思っていた奴らに裏切られたんだから。

メンタルだけには自信のあった自分だが、さすがに泣いたね。


『今日からこの家、もう君の家じゃないから』
家をいきなり追い出されてみな?
これからどうすれば良いかわからないし、まず、なんでこうなったのかもわからなくなるだろうさ。




話が長くなり過ぎたようだな。

あの日、何があったのかを話そうじゃないか。

全てを失った日、そして『人間なんてこんなものだよ、所詮は』と、強く悔い改めるようになった日のことを。