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3分53秒のお時間があるとき聴いていただけたら幸いです♡

 

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つい先日、ラジオパーソナリティーの女性と食事をしていたときのこと。

うつむき加減で彼女が言いました。

「桑名さんは、番組とかイベントとかで、
誰かに『頑張って』って言ったことある?」

 

「まさか!」
私は即座に答えました。

 

ほぼ、言ったことがないからです。

 

「ない」ではなく、思わず「まさか」と言ってしまったことに、
自分でも驚きました。

 

「じゃ、『頑張りましょう』は?」

「それもないかな」

 

こちらは、「ないかな」と優しく言えました(笑)。

 

 

「だよねー。私もね、気を付けていたんだけど、昨日の番組で、あるインストラクターさんと電話をつないで話していて、シメる言葉が思いつかずに、つい『頑張って下さい』って、言っちゃったの。偉そうだよね。

しまったと思って、焦って『頑張りましょう』って、へりくだったつもりで言い直したんだけど、同じだよね。
メゲた……」

 

彼女は、言葉を大事にしている人なんだなと思いました。

 

 

 

私は、公共の場だけでなく、どんな場面でも、ほぼ「頑張って」と言わないんです。

 

数は少ないですが、言うとしたら2つの場面だけでしょうか。

 

ひとつは、目の前の相手が「私、頑張る!」と、自分に対していったとき。
もうひとつは、スポーツや仕事、手術、リハビリなど、極限までトライしている人を目の前にして「もう一歩!」と感じたとき。

 

 

たぶん、この2つの場面なら「頑張って」と言うこともあるかと思います。

 

 

なぜ、ほぼ言わないかというと、

「頑張る」は、自分が自分に対して言う言葉だと感じているからです。

 

 

「頑張る」の本来の意味は、「我を張る」「眼を見張る」「忍耐して努力する」「気張る」「ゆずらず主張する」など。

張り詰めたニュアンスがいっぱいです。

 

人はリラックスをしてこそ本来の力が発揮できるのに、

張り詰めてしまっては元も子もありません。

 

トーク心理学的にも、「頑張って」と言うと、精神的に相手を追い詰める場合があり、言われた人はプレッシャーを感じたり、指示されていると感じたり、上から目線だと思ったりする人もいます。
 

もちろん「誰に言われるか」「どんなニュアンスで言うか」でも、大きく変わってきますので、言われて嬉しい場合もあります。

とても尊敬している人に心を込めて言われたらきっと嬉しいでしょう。

 

 

ですが、「頑張って」をほかの言葉に言い換えることもできます。

 

「すごいね」
「やるね」
「素晴らしいね」
「イキイキしてるね」
「楽しそうだなー」
「カッコいい!」

 

プレッシャーを感じさせず、指示もせず、上から目線でもなく、追い詰めることもない、素敵な言葉がたくさんあります。

 

もし今まであまり考えず「頑張って」と言っていた方は、「変換あそび」を試してみてはいかがでしょうか。

 

言葉は、無意識の中にひっそりと入り込みますから、相手との関係によりよい変化が訪れるかもしれません。

 

 

 

講演やスピーチを依頼されたとき、冒頭はどんなトーンで話しだしますか?

 

「みな様、こんにちはーー!!」
「お元気ですかーー??」
「はじめまして。〇〇でーーす」

 

など、大きな声でパワフルに第一声をスタートしますか?

 

スピーチや講演の第一声は、大きな声で元気よく。

と、教えるスピーチ教室もありますし、自称スピーチの達人という方が音割れしそうな声でYouTubeに登場することも多々あります。

 

 

講演を始めたばかりの頃、私も必ず元気にスタートを切りました。 

 

高いテンションで始めたほうが、勢いがあり、自信があるようにも見えるのではないかと思ったのです。
当時は緊張を隠したくてたまらなかったので。

 

 

ところが、最初に元気すぎる声を上げた瞬間、聴衆が引くことが分かったのです。

高く元気すぎる声で冒頭の自己紹介をしたとたん、聴衆の心が離れ、皆の頭の上にクエスチョンマークがついているように見えました。

 

私は、焦りました。

 

そして、焦りを隠そうと、更にテンションを上げると、更に聴衆がどんどん離れていくのを感じました。

 

とても怖い時間でした。

 

こんな恐ろしいことがなぜ起きるのか、何回か同じ経験をしてやっと分かりました。

 

人は、命令をしたり、上からものをいう人を嫌います。

 

逆に、優しくされたり、話を聴いてくれたり、親切にしてくれたり、下から自分の心に入ってくる人に安心感を持ちます。

 

声のトーンも全く同じだったのです。

 

下からゆっくりと、優しく入ってくる声に安心感を持ちます。

 

ゆっくりと優しく、丁寧に話してくれると、自然に心が開きます。

 

けれど、冒頭でいきなりテンション高く迫られると、強引に心をこじ開けられているような気分になってしまうのです。

 

しかも聴衆にしてみれば、ほとんどが初対面ですから、余計です。

 

強引に心をこじ開けようとすれば、相手は当然心を閉ざしてしまいます。

 

ハイテンションでスタートすると、スピーカーも聴衆も冒頭から心拍数が上がり、緊張を促進してしまうのです。

 

これが、聴衆が引いてしまった理由でした。

 

裏を返せば、自信の無さが必要以上の高いテンションになり、その本質を聴衆が見抜いたとも言えます。

 

講演、スピーチ、プレゼンテーションの冒頭から高いテンションでスタートする方の多くは「圧倒して聴衆を自分の話に巻き込みたい」と願っています。

 

ですが、聴衆は話しの内容に興味を持つのであって、大きな声に圧倒されたいわけではありません。

 

 

私はそのことに気が付き、低く優しく、ゆっくりとした声で口火を切ることにしました。

 

すると、打って変わって聴衆の気が自分に集中し、全員を吸引できたことをはっきりと感じ取りました。

 

まるで、誰かが魔法をかけたのではないかと思うほど、一瞬にして会場中の空気が私に集中したのです。感動しました。

 

冒頭でトーンを抑えるコツは、ゆっくり話し始めることです。

ゆっくりと話せば、必然的に声のトーンは下がります。
優しく話すことも十分できます。

 

そして、低く、優しく、ゆっくりとした口調でスタートすると、自分自身の心が落ち着きます。

自信がみなぎり、これからのスピーチを価値あるものにできるという確信が体中にあふれます。

 

私はこれをスペシャル・スローインと名付けました。

 

アメリカのTEDなどを見ると、ハイテンションで出てきて「みなさん、こんにちはーー」なんてスタートする人はほぼいません。

 

大声のハイテンションスタートは、日本独特のものなのかもしれません。

 

 

人は上から来るものに警戒しますが、下からくるものには心を許します。

 

ですから声も、聴衆の下から滑り込ませて、聴衆を立てます。

 

下からスルッと入って、いつの間にか虜にしてしまう。
冒頭のスペシャル・スローインは、まるで素敵な恋の始まりのようです。

 

 

新年明けましておめでとうございます。

 

昨年は、ブログを読んで下さって、ありがとうございました。

 

楽しむこと、

エネルギーを注ぎ込むこと、

出会った方とエネルギ―交換をすることが、

私の仕事であり、プライベートでもあります。

 

今年は、実際にお会いできますように。

 

2021年もどうぞよろしくお願い致します。

 

                 桑名涼子