皆生温泉で温泉熱(地熱)発電実験 「皆生 菊乃家」さんが協力!
鳥取県米子市の皆生温泉で、温泉を利用した地熱発電の実験に米子高専の森田慎一准教授(熱力学)のグループが取り組んでいます。
地熱は太陽光や風力に比べて気象条件に左右されないのが強みです。福島第一原発事故を受けて自然エネルギーに注目が集まる中、来年3月までの実験で季節ごとの発電量データをまとめ、2015年頃の実用化を目指しています。
森田准教授は鳥取県内の泉源の多さに着目し'08年に研究に着手、温泉の熱と水道水の温度差を電気に変換できる半導体を使った小型発電装置(縦15cm×横30cm×厚さ5cm)を今年1月に開発しました。
装置は、半導体を組み合わせた「熱電変換素子」を熱伝導率の高い銅板で挟み込んだ構造。源泉をくみ上げたタンクの上部に設置し、下面にパイプで熱を伝え、上面に水をホースで注いで電気を得るもの。地下深くから水蒸気を取り出して使う従来の地熱発電に比べて導入が容易なのも特長です。
皆生温泉の源泉温度は85~65度と高く、水道水との温度差が50~35度もあるため効率が高いとのことです。
実験には皆生温泉の旅館「皆生 菊乃家」が協力、今年3月に地下にある源泉タンクに装置を取り付けました。発電量は10ワット/時。旅館の庭にある発光ダイオード(LED)を使った灯籠2基を点灯させています。
現在の発電量は一般家庭が使う電力の2%程に過ぎませんが、素子数や装置の設置数を増やせば出力を高めることが可能です。
グループは鳥取県内企業と協力し、20~10%程度を賄える装置を約60~50万円で発売することを目指しています。
「皆生 菊乃家」の佐藤基海支配人は「駐車場の融雪にも使えれば経費節減になる。『温泉で生まれた電力』をライトアップなどでアピールし、温泉街の新たな魅力にしていきたい」と研究の進展に期待しています。
<読売新聞>
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