4月5日、平安神宮であった「平安神宮 桜音夜(さくらおとよ)~紅しだれコンサート2024~」に行ってきました。
平安建都1200年記念事業の一環として1989年に始まり、平安神宮の神苑で紅しだれ桜のライトアップに合わせて毎年開催されているコンサートで、今年の「第3夜」となるこの日の出演は、ピアニストの菊池亮太さんと鈴木愛理ちゃん。京都は薄曇りながら、桜が満開で絶好のお花見日和となりました。

18時40分開演の第1部。夕暮れが迫る中で東神苑に入場し、ライトアップされた桜を見ながら、栖鳳池までやって来ました。舞台になっている尚美館(貴賓館)での演奏を池の周囲から池越しに観覧する形になります。
この回は2桁台の整理番号を持っていたので、そのまま泰平閣(橋殿)まで進み、舞台を下手から見るポジションを確保しました。

尚美館が照明に照らされ、開演を告げるアナウンスとオープニング曲に続いて、菊池亮太さんが登場し、「さくらさくら」のモチーフでピアノソロを弾いた後、愛理ちゃんが登場。少し距離があったのですが、着物をアレンジしたドレスを着ている様子で、菊池さんも和装でした(終演後、艶やかな写真がSNSにアップされました)。
1曲目は菊池さんのピアノに乗って、しっとりした「桜チラリ」の歌い出しから、「最強の推し!」へと繋ぐメドレー。リズミカルにテンポアップしたピアノに合わせて愛理ちゃんが「みなさん楽しい夜にしましょう、クラップよろしくお願いします」と促してくれたので、「どんな感じで聞いていたらいいのかな…」という思いが解消されました。
MCでは、菊池亮太さんが桜音夜に2日連続で出演した史上初の演奏家になったと言い、愛理ちゃんが史上初めて桜音夜に出演するヴォーカリストだと紹介。また、愛理ちゃんにとっては、これが20歳代最後のコンサートになることも紹介されました。
「こんなロケーションで演奏させていただいて、素敵な服を着させていただいて、特別な気持ちです」と言う菊池さんに、「こんな歴史の深い場所で歌うことがなかったので、…なんだかすごく気持ちがいいですね。空気がきれいで、いつまでも歌っていたいという気持ちになります」と愛理ちゃん。「話し過ぎると、なかなか終わらなくなるので」と言い、続いて「見る目ないなぁ」と「空は二度燃える」を披露しました。
「見る目ないなぁ」は、もともと荒幡さんのピアノソロで歌っている曲ですが、ピアニストが変わると表現が変わるのを感じました。勝手なイメージですが、歌にピアノが優しく寄り添っていく感じでした(荒幡さんのは絡み合って一緒に深みにはまっていく感じで、これはこれで大好物ですが…)。
「空は二度燃える」のピアノバージョンは初めてでしたが、躍動感のあるピアノがドラマチック。次第に変わっていく照明も効果的でした。
また、会場は音響が素晴らしく、透明感のある音が静謐な庭園に染み渡っていくように感じました。
「なかなかこういう場所でみなさんと同じ空間を味わうことができないので、貴重な機会」だと言い、子どもの声が聞こえると「お子さんの声も聞こえて、あったかい雰囲気ですね。みなさん、寒くないですか?」と気づかう愛理ちゃん。
1部の最後は「私の好きな春の曲を歌わせてもらいたいと思って、選ばせていただきました」と紹介して、Rihwaさんのカバーで「春風」を披露しました。柔らかな愛理ちゃんの声がとても似合う歌でした。



第2部はすっかり日が落ちた19時55分の開演。ライトアップの桜がより幻想的に見えました。
この回は、舞台を正面から見ることを優先して場所を取ったのですが、照明が点灯すると、尚美館の中に描かれていた松の障壁画が照らし出されて、さらに幽玄な感じになります。
1部とは違ったピアノソロに続いて「桜チラリ」からコンサートが始まりました。
このコンサートのシンボルである紅しだれ桜はちょうど八分咲きだったそうで、最初のMCで「満開よりも、一番紅色がきれいに見えるのが八分咲きだと、今日教えていただきました。その桜だけが八分咲で、他が全部満開なんてね」と言う愛理ちゃんに、「奇跡的な確率ですよ」と答える菊池さん。二人が一緒にパフォーマンスするのは初めてながら、「クラシックTV」で共演したことも紹介されました。
「見る目ないなぁ」で水面を魚が跳ねる音が響いたり、「空は二度燃える」の赤い照明が襖絵の松を妖しく照らしたり、特別な空間でのコンサートを感じさせました。
歌い終わった後、「この2曲をここで歌うと、大河ドラマの見過ぎで、その時代の気持ちに勝手になってました」と言う愛理ちゃん。「光る君へ」を見ているそうで「あの時代の方々も『私って見る目ないなぁ…』って思うことがあったのかなと考えながら。こんな素晴らしい場所で、あんなに何回も『見る目ないなぁ』と言ってしまいました」と笑います。また、菊池さんは「僕たちは櫓みたいな所に入って演奏しているので、聖なる視線をなんとなく感じます」と言っていました。
ここのMCでは、1曲目の「桜チラリ」にも触れて、愛理ちゃんが8歳から歌っていたことや、この曲がメジャーデビュー曲で℃-uteのメンバーだったことも話していたので、ファン以外のお客さんにも愛理ちゃんのことを知ってもらうきっかけになったと思います。私の周りのお客さんの様子からも、平安神宮の夜桜とともに音楽を楽しむのが主な目的で、桜音夜に来た人がたくさんいるようでした。
そんなコンサートの最後に愛理ちゃんが選んだのは、絢香さんの「三日月」。2月の石田組のコンサートを含めて度々歌ってきた楽曲で、たまたまコンサートに来たお客さんでも知っているだろう有名な曲なので、とても良い選曲だと思いました。あいにく月は出ていなかったものの、夜空に沁み込んでいくようなしっとりした歌声に聞き入りました。

ライトアップされた桜に囲まれた神苑の池の畔で聞く菊池亮太さんの情感あふれるピアノと鈴木愛理ちゃんの伸びやかな歌声。清浄な空間を共有する素敵な体験でした。

セットリスト

オープニング(菊池亮太さんピアノソロ)
1.桜チラリ〜最強の推し!
MC
2.見る目ないなぁ
3.空は二度燃える
MC
4.
1部 春風(Rihwa)
2部 三日月(絢香)