8月24日、26日、28日に新宿スターフィールドで上演された舞台「日之出神社に夜は来ない」に行ってきました。


公演日は24日~28日、「チームミタマ」「チームカガミ」の2チームでの開催でしたが、推しの田辺奈菜美ちゃんがいるチームミタマ4公演のうち3公演の観劇となりました。
以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

まずは、公式ページ掲載のあらすじ等を載せておきます。
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「此の夜が、もう二度と、訪れぬよう」
天満アキトは、日之出神社(ひのづるじんじゃ)で行われる花火大会の終わりに、思いを寄せているタマ子に告白をしようと考えていた
しかし、花火の予報を告げる空包の音が鳴る18時になった瞬間、時間がその日の朝10時にリセットされてしまう
何度夜を迎えようとしても、"夜を失ってしまった世界"は戻らない

一体、この"時の逆戻し"が巻き起こっている理由とは...?

2018年の初演で全公演満席で幕を降ろした朗読劇「ひのよる」が、舞台として完全リバイバル!
神と妖怪と少年少女とが、ひと夏を叫び・踊り・駆け回る、
ポップでハッピーなエンターテイメント・サスペンス、ここに再誕!

現代劇ですが、日本神話や伝説に出てくる神々とその眷属、妖怪などが登場人物の多数を占める和風ファンタジーです。テンポも良く、笑いの要素もあって、アニメを見ている感覚で楽しめるエンターテインメント劇でした。
物語の前半は「時の逆戻し」が起こっている原因を主人公たちが探し、後半は突き止めた原因の解決を図る展開になります(今後、再演等があるかもしれませんので、このレポも鍵になる部分はなるべく触れずに書くことにします)。
オープニングで原因の核心になる出来事が描かれていますが、最初に見た時には「へえ、こんな感じのお芝居か…」という感じでなんとなく見ていました。ストーリーを知って二度目に見ると、その意味がわかって「なるほど!」となりました。
その後、登場人物とキャストの紹介を兼ねて主題歌(?)に乗せて踊るダンスがあります。アニメのオープニングのようなイメージですが、ストーリーを知ってから見ると、振付けがストーリーを踏まえたものになっているのがわかりました。役柄もあって、このダンスはななみんの見せ場の一つだと思って見ていましたが、久しぶりにしなやかで綺麗なダンスが見られました。

ななみんが演じたサクナは、怨霊の「夜行」に憑りつかれる少女で、意識が混濁した状態(あの「しゅごキャラ」で言えば「バツたま」になった状態)で彷徨い歩く場面が多いのですが、細身で華奢なななみんが演じると、幸薄く、実体をなくして消えてしまいそうな感じがよく出ていました。関連イベントのトークでななみんが、演出の田島聖也さんに「暗い役が似合うと言われた」と言っていましたが、そんなサクナの演技はとても良かったと思います(ファンとしては明るく元気な役も見たいところですが…)。
七瀬美優さんが演じるヒロインのタマ子は無邪気で屈託がなく、「太陽のように、月のように」明るい女の子ですが、そんな彼女に対する思いや「夜行」を引き寄せてしまった心の闇を想像すると、サクナはなかなか難しい役どころだったと思います。タマ子に触れることができない「夜行」が、サクナに絡みつく場面は印象的でした。

白石彩妃さんが演じる主人公のアキトは、優しくシャイな男の子という印象でした。この事件を通して強く成長していく姿が見所でしたが、ひたむきな真っ直ぐさは、最初からずっと変わらない感じがしました。
ツクヨミの相沢菜々子さんの演技が特に良くて、ステージに立つだけで様になるカッコ良さがあり、夜を返す決意をする場面、最後にタマ子と話す場面は、特に胸に迫るものがありました。アキトとシンクロしていく感じも、とても自然に映りました。また、倉稲魂命との掛け合いも楽しく、毎回、笑わせていただきました。
神様って、もし実在するとしたら、たぶん人間の常識とはズレているのではないかと思うのですが、鈴原紗央さんが演じる倉稲魂命のちょっとズレた様子を見て「きっと、こんな感じだろうな」と思いました。五穀豊穣の女神なので、陽性なところもそれらしくて良い感じです。また、勝気なコン、優しいゴンの使い狐コンビも可愛いかった。
その他の登場人物もわかりやすくキャラが立っていて、神話由来の設定も見た目や演技に上手く活かされていたと思います。
私はハロプロファンなので、元カレッジ・コスモスの渡辺磨玲さんが、ヤタガラス役で出演していたのにも注目しました。神の御使いのヤタガラスにふさわしく、お芝居では狂言回しの役割を担い、前説の影アナや規制退場の誘導など観客にとっても案内役でした。
このヤタガラス、厳かなキャラかと思いきや、結構、現代的なところがあったり、とてもチャーミングでした。神様にスマホで連絡を取る場面は、特にお気に入りの場面になりました。

今回は3回の観劇となりましたが、一度目は、ななみんを見つつ、ストーリーの流れを追いかけ、二度目は、ストーリーを把握したぶん、伏線に気がつく楽しみがあり、三度目は、それぞれの演技に注目しながら見ました。
毎回、違う楽しみがありましたが、特に千秋楽はキャストの気合いを感じる演技で、お芝居の流れもスムーズで入り込むことができました。笑いの部分もさらにテンポ良く、磨きがかかっていて客席から笑い声が起きていました。
クライマックスは毎回、感動して見ていたのですが、登場人物それぞれの想いが交錯し、どんどん切迫していく場面で、アキトの強く真っ直ぐな想いに感動しました。
千秋楽のダブルアンコールでの七瀬美優さんの挨拶と涙はリアル「タマ子」ちゃんでしたが、隣にいたななみんが笑顔で優しく頭を撫でてあげているのが見られたので、田辺ファンとしてもうれしい千秋楽でした。



キャスティング(チームミタマ)
天満アキト …白石彩妃
タマ子 …七瀬美優
月読命(ツクヨミ) …相沢菜々子
サクナ …田辺奈菜美
コン …渡邊美華
ゴン …赤澤巴菜乃
倉稲魂命 …鈴原紗央 
ヤタガラス …渡辺磨玲
ネコマタ …佐藤百華
伊邪那美 …安齋未唯奈
牛頭 …馬場鞠乃
馬頭 …葉山ゆき 
雲外鏡 …杏奈
夜行 …安齋未唯奈、馬場鞠乃、葉山ゆき、杏奈

<チームカガミ>
山田夏音 相沢菜々子 山川愛理 有沢澪風 小林可奈 北市愛奈 蒼葉ちえ 石澤優華 江俣智愛莉、大塚涼加 姫神華音 富田レン 鈴木夏音

スタッフ
脚本・演出 / 田島聖也(まるかど企画)
美術 / 逸見輝羊
照明 / 南条真沙代
音響 / 佐野貴史
衣装 / ヤマダタカノブ
制作進行 / 大塚桃
舞台監督 /井草祐一
プロデューサー / 和田小太郎
企画・製作:(株)TUFF STUFF