個人的に選ぶ2020年アニメ映画ベスト5位~1位 | 魔王の娘

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タイトルと中身はあんまり関係ないかも。

さて、数日後と書きましたが翌日に書いてみました。

書かないと間が空いてしまうのが私の悪い癖なので、書ける時に書いておかねばという訳です。

 

ただ、6位以下は割とすんなり決められたのですが、5位以上は接戦と言うか甲乙つけがたいものがありました。

ただ売れただけ、観に行った回数だけで決めるなら鬼滅の刃になるんですけど、今のご時世何が売れるか判らないというより、バズったもの勝ちという側面もあるので、そういう余計なフィルターは極力排除しました。

 

ということで、まずは5位から。

 
 
5位 劇場版 SHIROBAKO
 
昨年初めに上映されたものの、コロナで途中中断したのが本作。
TV版同様安定した作りだけに不運だった作品でした。
秋口に再開する館もありましたがそれも一部で、さらにコロナの非常事態宣言再開直後とあって客足も伸びなかったので、随分と興行成績に影響もしたんじゃないかなと思います。
 

で、実際中身はというと、TV版同様に水島努監督にシリーズ構成横手美智子 さんという布陣でとてもまとまってました。

 

冒頭の触りだけ書くと、TV版のラストから5年後の武蔵野アニメーションというところからスタートします。

あの大円満の終わりから、さぞや順調に会社もキャラも成長しているだろうなという思いきや、元請けすら出来ない下請け会社に降格して、社長も交代しているという、ある意味TV版序盤よりも悪い状態から始まります。

と言う感じで、どうしてそうなったの?という疑問が未見の人は思うでしょうが、理由についてはこれ以上はネタバレになりますし、ご自身の目で確かめていただければ。

 

ただ、会社はどうあれアニメ業界で生き残って色んなものに揉まれているキャラたちは良くも悪くも変化があって、成長したりそうでなかったりと様々な人間模様も見所の一つになっています。

大人になった平岡、相変わらずの矢野さん、やさぐれ遠藤さんなどなど。まだまだ登場人物の数だけ人生があるので、そこも楽しみにしてほしいですね。

 

ちなみに、前々からミュージカルをやりたいという監督の言葉通り本編に出てきますが、これは賛否両論なようですね。

でも、私は作品性を壊してもいないしリズミカルでノリも良かったし気に入ってはいますね。

おいちゃんのスキップで、とりあえず~とりあえず~とりあえず~♪

 

……てことで、これを読んでくれている人の何割かはご時世のお陰で観てない人もいるかと思いますが、TV版同様のクオリティなので今からでも鑑賞をお勧めします。

終わりとしては続編もあるかもしれないという締めくくりになっているので、出来れば3作目期待ですね。

 

 

4位 劇場版 荒野のコトブキ飛行隊 完全版

 

4位も水島監督が手掛けたコトブキ飛行隊完全版です。

実は、TV版は録画失敗して見れてなかったのでいきなり劇場版から入りましたが、それでも十分理解は出来たし楽しめました。

ただ、Dアニメその他とか、何でどこもコトブキ飛行隊TV版無いんでしょうかね。

 

この作品は、通常版とMX4D版を見たのですが、やはり飛行機的には後者が楽しかったです。

アクロバットの連続なので揺れる揺れる。

なので、面白いけど車や飛行機酔いする人には4DXお勧めしないです。

 

まあ、余裕出来たらTV版のBDでも買いましょうかね。

ともかく、これは初見でも楽しめるのでお勧めです。

 

 

3位 劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel Ⅲ

 

Heaven's Feel三部作の最終章に当たる本作は、もちろん今までのFateシリーズを見ていないと理解できないのでハードル高いですが、それでもさすがにラストに来てufotableも気合入れてきたなという印象受けました。

ただ、原作のゲームが出てから15年が経っているので、あれ?こんなだったっけ?という部分もあって、復習的な感もありましたね。さすがに、それだけ年数経ってると忘れる忘れる。

 

この最後の三作目で大体の表事情は明かされて、ゲームやった人は大体補完されます。

ゲーム未プレイの人には疑問や謎が残って、やっぱり総プレイ時間が100時間の作品をアニメだけで表現しきるのは難しいかなとは思いました。

原作をプレイした人だけでも、凛の魔術師としての能力がどれだけ高いかとか、桜の属性が何なのかというのはWIKIなどで調べないと解らないので、この作品はマニアック向けの感もあります。

 

見せ場としては終盤の戦闘シーンですが、これを見るために何度も映画館に足を運び、昨年に限れば2番目に多く見た映画になりました。

という訳なのですが、まだ未見の人は原作からプレイをお勧めします。

プレイ時間は最速で60時間と言われてますが、私はゆっくりやったので100時間以上かかりました。

それだけ、情報が膨大と言うか、テキスト量が多いということですね。

 

もう少し付け加えると、最後主人公の士郎がどうなったというのも原作を見ないとはっきり判りません。

ついでに言うと、那須きのこ著の空の境界を読めば……ああ、あの人がああしてこうなったのかというのが判ります。

 

きのこ作品は、ほんの一部を除いて全て世界観が繋がっているので、完全理解するには関連作を読まないといけません。

そういう前提もあったり難解さもあるので、3位という位置づけにしました。

個人的には、やっぱりその一作やシリーズをもって全て完結しないと不完全だと思いますし。

そういう作品が近年特に増えてきた中で、本作は代表例とも言えますね。

 

色々書きましたが、濃密な名作には違いないので結果的には高い評価となりました。

 

 

2位 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編

 

2位は知らない人はいないでしょう、興行収入一位の座に登りつめた鬼滅の刃です。

当初は、どれくらいの数かは判らないですが、TVシリーズでしないで続きを劇場版でということに批判的な意見もありましたが、結果的には成功と言う形に収まりました。

 

鬼滅の刃については、後日また論評したいと思いますが、この作品の躍進もFate同様にufotableの力が大きかったなと思います。

勿論、原作の面白さあってのことですが、空の境界やFateシリーズから始まってここ10年で地道に成長して、社内でほぼ全ての部門をカバーできる体制と丁寧で妥協のない取り組む姿勢がそのまま作品に現れたのかなと感じました。

 

原作ではほぼ1巻分の尺で、通常の作りだと2時間は長すぎるんですが、漫画では描ききれない合間を補完して、いかに上手に嘘をつくか、オリジナル部分を挿入していくかなどが必要になってくるんですよね。

 

そうすると、本来どこかしらで原作と対比して、ここが違うとか、ここをこうすれば良かったというのが出てきがちだけど、それがほぼ無いというのも緻密な計算の元に作られている証左となっています。

おそらくですが、ufotable以外だと、ごく一部の制作会社でしか、ここまで爆発的なヒットは無かったのではないかなとも思いますね。

 

あとは、集英社やスポンサーが本腰入れて潤沢な予算をかけたというのも要因の一つに挙げられます。

そのため、実力派声優陣で望めたり、制作費に費やすことができたので、初めから興行300憶は狙っていなくても、ある程度の見込みはあったのでしょう。

 

見せ場として判り易いのは、煉󠄁獄杏寿郎と猗窩座との戦い。

これも、原作で描写されていない部分をオリジナルでカバーし、違和感なく描き切ってるのはやはり圧巻でした。

加えて、やはり石田彰さんと日野聡さんの白熱した演技も相まって、屈指の名バトルシーンになってます。

 

と、その他諸々書きたいことはありますが、それはまた後日にいたします。

気になる点についても併せて。

 

 

1位 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

 

あくまで個人的順位なので、興行成績関係なく本作が私的には1位となります。

 

中には、鬼滅の刃より売れてないじゃないかという意見もあるかもしれないですが、それは知名度と配給会社が異なっていますし、そもそも土俵が異なっているので仕方ありません。

 

ラノベなどの活字媒体は、漫画に比べるとどうしても一桁以上売り上げが下回ってしまいますし、京アニ自体が東宝でなく松竹を配給会社に選び続けているので、最初からメガヒットは狙ってないんですよね。

 

話しを本題に戻しますが、この作品は京アニ独自のの京都アニメーション大賞の唯一の大賞受賞作です。

 

京アニは審査が厳しいので、アニメ化した、中二病でも恋がしたい!、境界の彼方、ハイ☆スピード!でさえ奨励賞止まりなので初めからアニメ化してヒットさせる気満々だった作品になります。

 

ちなみに、脚本は安定の吉田玲子さんで、この人どれだけヒット作に関われば気が済むんだって感じですね。

監督は石立太一さんで、涼宮ハルヒの憂鬱、クラナド、境界の彼方などにも関わっている京アニ生え抜きの方。

そういう訳で、この作品も成功する土壌は整っていた訳です。

 

観た人は当然気づいてることですが、TVシリーズ、外伝、そして今作はきれいに繋がって織りなされてます。

最近は動の作品が目立ちますが、京アニらしく本作も静の作風で。

とにかく、デティールの細かさや全体の美しさに拘っていて、一見地味なんですけど、職人ぞろいの京アニだからこそ作れる色味だなと感じています。

原画集など見るとよく解るんですけど、本当にキャラの線も細くて一本線なので誤魔化しが出来ないんですよね。

 

声優さんについては、ヴァイオレット役の石川由依さんはどうしても取りたかった役と言うだけあって、本当にはまり役です。

ヴァイオレットって人形みたいな容姿と機械じみた所作や性格からして、声も抑揚がなく、とてもイメージを保ちながら再現するのが難しい。

 

通常、女性だとキーがある程度高くて抑揚や緩急があって女性らしい声になるので、その逆をやりつつ恋する乙女を演じるのって難しいだろうなぁと素人ながらに思って見てますね。

 

そして、一番は監督が言っていた、本当に完成させることが出来るのか判らない状態で、何とか作り終えることができたという切実な言葉が印象的でした。

 

もう世間では記憶が薄れがちですが、京アニ放火事件ってまだ1年半前の事なんですよね。

ユーフォニアムなんかは主力の方々が亡くなられて、いつ最終章が作られるか判らない、どんな作風になるのかも判らない状態で。

 

ユーフォニアム程でないにしろ、本作もそんな中期日を守って完成させるのは筆舌に尽くしがたい苦労があったでしょう。

 

先日も、川崎チネチッタでユーフォニアムと併せてメインスクリーンで大晦日上映が行われましたが、上映が終わるとユーフォニアムもヴァイオレットも誰ともなしに自然と拍手するんですよね。

他の作品だと、こんなことはほとんど無いです。

 

今回の私的ランキングも、最後まで一位は鬼滅の刃かヴァイオレットか悩んだんですけど、どちらがより心に響いたかが決め手でした。

といっても、どっちも同じくらい響いたんですけどね。

 

やっぱり、作り手も人間なら受け手も人間なので、スクリーン越しにでも感じ入る物があると思います。

結局、人は感情の生き物なので、心動かされたり感動したりすることを物事の尺度にしていますし、そういう色々な条件が重なって昨年は個人的にはヴァイオレットが一番ということになりました。

競馬で言えばハナ差なんですけどね。

 

てことで、まだヴァイオレット未見の人はまずはTVシリーズからお勧めします。

それで気に入ったら、外伝も本編映画もほぼ間違いなく気に入ると思います。

 

 

などと書いてると、想定より長くなっちゃいました。

てことで、今回はそろそろこの辺で。

 

今年はブログも定期的に更新していくので、今後ともよろしくお願いいたします。