三菱電機は苦戦が続く携帯電話事業からの撤退を発表しました。
これは三菱電機の今期の携帯電話の販売台数見込みが当初の280万台から210万台へと引き下げられ、販売台数がピーク時の3分の1以下の水準に落ち込むなか、携帯電話事業が含まれる情報通信システム部門の第3四半期(2007年4月から12月)の営業利益が6億円弱の赤字となるなど苦戦が続いていたためです。
このところ東芝のHD-DVD事業、パイオニアのプラズマディスプレイパネル事業といった同じような赤字事業からの撤退の話題が相次いでいます。
しかし、東芝、パイオニアと三菱電機ではマーケットの反応が異なっています。
赤字事業からの撤退を受けて東芝、パイオニアの株価が上昇したのとは対照的に三菱電機の株価は冴えない動きとなっています。
これは東芝やパイオニアに比べて業績に与えるインパクトが小さいといった面があることに加え、三菱電機の業績が当面のピークを付けたのではとの見方があるためなのかもしれません。
三菱電機の第3四半期(2007年4月~12月)の連結業績は売上高が前年同期比5%の増収、営業利益が同23%の増益となり売上高、営業利益ともに過去最高水準となっています。
また、通期の業績予想は第4四半期の外部環境の不透明さを理由に中間期での予想数字を据え置いていますが、第3四半期までの業績の進捗をみると営業利益で通期予想の既に8割強の水準まで達していることから、通期の業績に関しても上振れの期待が高まっているともいえるのではないでしょうか。
第3四半期までで営業利益が前年同期を2割強上回り、上振れ期待もあることから好調にみえる三菱電機の業績ですが、これを四半期ごとに区切ってみてみると若干異なった姿がみえてきます。
三菱電機の今期の第1四半期(2007年4月~6月)の営業利益は前年同期比で63%の大幅増益となり、第2四半期(2007年7月~9月)も同19%の二桁増益となっています。
しかし、第3四半期(2007年10月~12月)の営業利益は前年同期比ではほぼ横ばいに止まっています。
つまり営業利益の伸びの鈍化が期を追うごとに鮮明となるなかで、今後の事業環境がこれまでよりも厳しくなるとの見方が増していることで一層の業績拡大が期待しにくくなりつつあるといえるのかもしれません。
マーケットではほとんど評価されていない携帯電話事業からの撤退ですが、経営資源を成長分野に集中させてきた三菱電機の姿勢をさらに強めるものとして評価できるのではないでしょうか。
三菱電機はこれまでも業績変動の激しい半導体事業をいち早く切り離し、FA事業や自動車関連機器、社会インフラなどに経営資源を集中させてきました。
派手さはないものの、こうしたことが功を奏し業績は過去最高水準を達成しています。
携帯電話メーカーの収益状況が今後厳しさを増すとの見方が一般的となるなかでの総合電機としては初めてと
なる携帯電話事業からの撤退という決断が注目されるのかもしれません。