前期の中間期時点で問題となりマーケットの失望を招いた粗利益率の悪化は第3四半期に前年同期比較で同水準まで回復を示し、ひとまず課題だった粗利益率のコントロールに成功したことで、一層の粗利益率の悪化といった懸念は後退しました。
しかし、第4四半期の計画は第3四半期に前年同期並みまで戻った粗利益率をさらに前年同期比較で1.4ポイント改善させ46.3%にするといったもので、難易度の低くないものとの指摘を第3四半期業績発表時にしていまし
た。
また、第3四半期に国内ユニクロの売上高が30億円程度予想に未達だったことに加え、上記のように利益率の一層の向上を目指すなか下期の既存店売上高が3.9%増の計画に対して、3月から6月までの既存店売上高が2.4%増に止まっていたため通期での売上高の計画未達といった懸念も指摘していました。
結果は懸念した通り国内ユニクロ事業の第4四半期の粗利益率は44.6%に止まり計画を1.7ポイント下回りました。
また、下期の既存店売上高は0.6%減となり計画に対して大きく未達となりました。このように国内ユニクロ事業の売上高、粗利益率が計画を下回るなか、販売管理費だけが計画通りの水準と大幅に増加したため、連結ベースの営業利益は増益予想の計画を1割下回り一転して前期比で7.7%の減益となりました。
結局、前期は売り上げを伸ばそうとすれば値引きをすることで利益が犠牲になり粗利益率が低下する、一方で利益率を確保しようとすれば売上高が未達になるといったように混迷を続けた1年だったといえるのではないでしょうか。
今期は前期の反省を踏まえて売上高、粗利益率の両方に配慮した計画になっているようにみえます。
上期は既存店売上高を1.9%減に止まる計画とするものの値引きを抑えることで粗利益率を前上期比1ポイントアップとしています。
一方、下期に関しては既存店売上高を前下期比で0.2%増とするなか粗利益率を前下期並みの水準としています。
また、粗利益率だけでなく今期は販売管理費などの経費のコントロールし収益性を重視していくとしています。
こうしたことから今期の業績予想を営業利益で前期比12%増とし比較的、保守的な計画をたてたとしています。
ファーストリテイリングはこれまで国内ユニクロ事業だけでなく、海外でのユニクロ事業、キャビンやワンゾーンといった国内関連事業、プリンセスタムタムなどのグローバルブランド事業、さらに成功はしなかったものの大型のM&Aなどへと事業を広げてきました。
しかし、前期の業績を受けて今期は国内ユニクロ事業の建て直しを経営の最優先事項としています。
国内ユニクロ事業がファーストリテイリングの最大の収益源であることから、こうした方針は評価できるのかもしれません。
しかし、9月の既存店売上高が大きく落ち込んでいることもあり、今後の動向を注意をしてみていく必要があるのではないでしょうか。