鬼を追い払い
豆をまく日
私も豆を買ってきて
「鬼退治でもしようかな」
なんて言ってたら
視界がパッと開けてきて
鬼の姿が見えてきた
どうやら今日は
鬼の世界への入口が
開いているようだ
見て見て
バスの座席

階段の途中

歩道橋
公衆電話の中
街の中

コンクリートの道端

草むらの中
工事現場

電車の中にも

鬼はあらゆる場所にいて

人間達を見ていた
だけど不思議と
鬼の姿は怖くはなかった
それどころか
悲しげな瞳に

私の胸は
締め付けられたんだ

だって鬼の顔ときたら

今にも泣き出しそうなんだよ
なんとなくだけど
孤独に見えたんだ

ずっと何かに囚われ
身動きも出来ず
ひたすら
もがいているんだろう
なんだかとても
人間みたいだね
いろんな世界が
本当はたくさんあって
まだまだ知らないことばかりだ
真実が全て見えているとは
限らないんだね
そう呟く私に
君はただ黙って
静かに頷いた
そうだ
いいことを思いついたよ
鬼さんも含めて
みんなで一緒に
豆まきをしようよ
それぞれが抱えている
悲しみを豆に乗せて
全部捨ててしまおう
そして
幸福がぎっしり詰まった
ピカピカの豆を食べて
神様からたくさん
福を貰うんだ
みんなが
幸せになるんだ
鬼も人も区別なんかない
興奮気味に私が言うと
君と鬼は
顔を見合わせて笑った
それでは
祈りを込めて
豆を投げるぞ
せ~の~
「鬼は外 福はうち」
HAPPYになぁ~れ♪
鬼の瞳から
一粒の涙がこぼれた

豆(魔滅)の涙が
キラリと光った♪
































