さて、債券の複利最終利回りについて。
テキスト等では大抵、「債券を満期まで保有した場合の複利利回り」とか、「各時点のキャッシュフローの現在価値の合計が現在の価格に一致するための一定の割引率」のように紹介されていますね。
P = C/(1+r) + C/(1+r)^2 + C/(1+r)^3 + ・・・・・+(C+F)/(1+r)^n
↑
この時のrが複利最終利回りだよ!みたいな。
うーん、でもこれってなんだか、いまいちピンとこない説明なんですよね。
特に後者。
「現在の価格に一致するための一定の割引率」っていう言い方をされても、
結局それが、投資判断をする上で何を意味する情報なのかがよく分かりませんでした。
なんかもっと分かりやすいイメージがしたい!
この話を、「現在←将来」の割引の視点じゃなくて、「現在→将来」の割増の視点で
見てみるとどうだろう。
クーポンや償還元本は、増えていく投資元本(価格)から途中もしくは最後に払い出される金
額だと考えると、さっきの説明は、
「投資元本(価格)から毎年産み落とされるキャッシュフローの成長率の一定値」の話をしているということになりますね。
「成長率の一定値」ということは、本当は一定ではないかも知れないけど
それらの成長率(毎年の投資元本の増え方の傾き)を均した場合の値ということですね。
↓
うん。
これならイメージしやすいです。(実際に適当なデータで検算して納得しました。)
上図の複利最終利回りが例えば「5%」の場合、
「1年あたり、お金を5%割増できる能力がある債券です!」ということになりますね。
これなら投資判断の情報として何を指しているかが明確です。
ただこれって、決して、「投資元本を複利で5%増やせます」とは言ってないんですね。
債券は預金口座と違って、投資元本から生み出されるクーポンは
自動的に払い出されてしまうので、その時点で運用原資(翌期首の元本)から外れてしまいます。
いくら毎年5%増やせる能力があっても、増やした一部をクーポンとして途中で払い出してしまうので、「投資元本が3年後に複利5%分に増える」という意味の値にはならないんです。
上図の例で例えば
P=94.55円、F=100円、C=3円、残存3年(複利最終利回り5%)として、
各年で払いだす3円を、満期まで現金でタンスにしまっておいたと仮定した
実効利回りを求めてみると、
(100+3+3+3)/94.55、の3乗根で、4.85%になります。
5%割増の能力で働いているのに、1年目の3円と、2年目の3円が途中で脱退して
増殖をサボるので、投資元本が複利5%割増、とまではいかない結果に終わるのです。
1年目に貰える3円を2年間、2年目に貰える1年間、サボらずに
複利最終利回りと同じ5%で運用した(出来たとして)場合の実効利回りは
(100+3.307+3.15+3)/94.55、の3乗根で、ちゃんと5%になります。
「クーポンを複利最終利回りと同じ再投資レートで運用できた場合にのみ
複利最終利回りが達成される」というのは、こうした話のことを言っていますね。
了

