月曜と火曜は舞台を拙宅に移しての作業。一日8時間×二回。

 

夢中になると寝食を忘れて作業に没頭してしまうという技術者さんの、集中力の持続ぶりにはシャッポを脱ぎました。

ちょっとは見習わねばと思った次第です。

 

鍵盤の高さはこの写真にある輪っかのようなものを組みあわせて調節します。

パンチングペーパーという紙でできた製品です。

 

 

0点0何ミリとかいう刻みで何種類もあって、上手に組み合わせてキーの下にあるシャフトにはめていくのですよ。

 

で、高さがそろうと白鍵の表面はこんなに均等になります。

 

 

 

鏡面のようでした。

 

これはその後黒鍵の高さのばらつきを見るための道具です。

 

 

 

そして、キーの間隔を一定にする作業がこちら。

 

 

 

これでところどころにある「すきっ歯」状態が解消されます。

ここまできちんとやらないと後の作業がすべて無駄になってしまうそうです。

 

眼鏡屋さんクラスのねじ回しでハンマーの微調整。

 

 

ここまでが昨日の作業でした。

 

気が遠くなりそうですが、見ていると吸い込まれそうになります。

僕も結構こういうの好きなんですよ。

 

 

明けて今日、火曜日は調律(音程を決める)と整音(ハンマーヘッドの調節)に取り掛かります。

フェルトでできたハンマーヘッドには硬化剤の注入と針入れを交互に行って、硬度を保ってほしい部分とそうでない部分のバランスを取ります。音色(おんしょく)が決まっていく瞬間ですね。

 

 

 

そして今日最後に目にした作業、初めて見たのですが実はそう珍しいものでもないらしいです。

 

一番右端の2音の響きに伸びがなくてどうするのかと思っていたら、技術者さん、真鍮製の魔法のランプのようなアルコールランプを取り出し、

 

 

 

ハンマーシャフトを熱し始めたではありませんか。

 

 

 

シャフトが熱いうちに力を加えて下方に少し曲げます。

 

 

 

こうするとハンマーヘッドが少しのけぞった感じになり、打弦点が奥に移動して響きが良くなるそうです。

 

 

鍵盤を、引き出しては調整、押し込んでは鳴りを聞く、の連続作業はまさに力仕事、くれぐれも腰には気をつけてほしいと思いました。

すべての要素における徹底的なこだわり、正真正銘のプロの仕事を見ましたよ。

 

そして作業終了。

 

 

Tさん、おつかれさまでした。

そして、ありがとうございました。