ある高校で夏休みに水泳大会が開かれた。

種目にクラス対抗リレーがあり、各クラスから選ばれた代表が出場した。

その中に小児マヒで足が不自由なA子さんの姿があった。からかい半分で選ばれたのである。

だが、A子さんはクラスの代表の役を降りず、水泳大会に出場し、懸命に自分のコースを泳いだ。

その泳ぎがぎこちないと、プールサイドの生徒達は笑い、野次った。

その時、背広姿のままプールに飛び込んだ人がいた。

校長先生である。

校長先生は懸命に泳ぐA子さんのそばで、「頑張れ、頑張れ」と声援を送った。

その姿にいつしか、生徒達も粛然となった。


これはある小冊子に出ていた本当の話です。