「自由におなりなさい。
自由に生きなさい」
わたしの友人の
26歳年上の旦那さまの
旅立ちの時の言葉です
彼女は既婚者でした
ある日
道路に落ちていた柿を踏みつけて
滑って骨折したそうです
柿の木の持ち主である家主は
初老の紳士…
別れた同じ歳の元パートナーに
毎月セッセと生活費を送る
律儀な男性でした
入院した彼女に
柿を毎日病室に持っていっては
彼女と語らいながら皮を剥いて
2人で食べたそうです
そのユーモアと
彼のあふれんばかりの愛と智慧…
彼女は
旦那さまと別れて
その初老の紳士と結婚しました
彼女の言葉を借りると
「あんなに男に惚れたのは
最初で最後」
結婚してからの2人はいつも一緒
わたしも何回かご自宅に遊びに行きました
すごい時は
リビングに20名以上の多国籍の友人らで
立食パーティー…
2人の愛に触れたくて
みんなが集まるのです
旦那さまに
癌が見つかってから…
なおさら2人は一緒にいました
片時も離れず
2人は一緒にいました
旅立ちが近くなると
「わたしが眠ると彼が逝っちゃう」
寝ないで彼の枕元にいる彼女に
入れ替わり立ち代り
以前
2人の巣に集った仲間が
見守りに行きました
わたしも
その1人です
2人きりになった瞬間に彼は
彼女に言いました
「自由におなりなさい。
自由に生きなさい」
しばらくして
意識を失う彼に
「わたしを置いて逝かないで!」
彼女は泣きながらお願いしたそうです
そうすると
彼は
「心拍数」を変化させて答えたそうです
そんな
医療モニター越しの会話を繰り返していると
意識のない彼の目から
涙がハラハラと溢れました
彼女は
そこで気づいたそうです
「彼は旅立ちたいんだ
わたしのために
ここにとどまっていてくれているんだ…」
もういいよ
逝っていいよ
わたしのために
苦しんでいるんだね
ありがとう
ありがとう
愛してるよ
愛してる
彼女の言葉を聞いて
彼は旅立ったそうです
2人の話を
わたしは秋になると思い出します
地球に残すパートナーのことを考えて
「自由におなりなさい」
そう言える
魂の片割れ…
彼はわたしの魂を震わせます
彼女は
いま
彼を見送った後
数回目の「恋」を
しています
