こんにちは!りょうです。

米澤穂信著『可燃物』を読了しました。

『このミステリーがすごい!2024』第一位です。


あらすじ(Amazonより)ーーー

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。
群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。

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面白かったです!

短編5編収録の短編集。

特殊設定が珍しくなくなった昨今の本格ミステリ業界ですが、「特殊設定?何それ、美味しいの?」と言わんばかりの現実路線!地味路線!

刑事もので、地道な聞き込み、事実確認を積み上げていく形ではありますが、

刑事物が苦手なみなさん、ご安心ください。

主人公の葛さんのやってることは、ほぼ探偵です。

複数の事実から、自分だけ違う視点に立って真実に気付き、事件を解決に導きます。

途中で上司に、

「お前の捜査手法は独特だ。どこまでもスタンダードに情報を集めながら、最後の一歩を一人で飛び越える。その手法はおそらく、学んで学び取れるものじゃない。」

とか言われちゃってますし😅


事件自体も、殺人事件の他に、交通事故、放火、たてこもり等など色々あるのですが、全ての短編に共通して言えるこの本の良さは、「着眼点」の素晴らしさですね!

思いっきり大どんでん返し、みたいな感じではないんですが、読者の注目を違うところに集めておいて、本当の重心は別なところにあったりして、「あ、あー!あそこかー!」とか「そっちかー!」ってなるという…。

つ、伝わる?(笑)


後、葛さんは警部で中間管理職みたいなポジションなんですけど、いつもたいてい間違った犯人や間違っている事実を元に、犯人を逮捕するかどうか上からせっつかれて、決断していくんですが、それが来たら、「あっ!ここから解決編ね」って分かるし、最後の締め方が、報われない感じで心に残るものが多く、心がザワザワする余韻で終わるのも、印象に残って良いです〜。


そういった、いわゆる水戸黄門的な毎回同じで読者に安心感を与える部分と、葛さんが謎を解く驚きや納得という意外性の部分が両方あってすごく良い!

安定と不安定、安心と驚きとか、両極端のものが融合されているものって心惹かれませんか?

米澤さん、やっぱり上手〜!

と一体お前は誰目線なんだ!?という突っ込みを自分で入れながら読了しました🤣


後、1つめの短編「崖の下」だけ読んだことがあって、「え、私が最新の短編抑えてることなんてあるかな??」と思って掲載雑誌を見たら、江神さんの短編『推理研VSパズル研』が載ってる雑誌でした。

納得(笑)