よくあるデウス・エクス・マキナですが、「機械仕掛けによって来る神」の意味であり、カミサマそのものはカミサマなんですね。

 

なのでエクスマキナだと「機械で来るもの」の意味になってしまう。

 

しかしまさにこの映画は「機械によりもたらされるもの」について言及されているというか、お前アイザックアシモフ読んで2057年版ロボット工学ハンドブックにしたがってモノ作れよって思った。

 

下手に作られたロボットが人間じみてると、非常に人道的な背徳感が沸きあがる。

不快感もだけど、主題がどこにあるのか揺らぐ感じが恐ろしい。

 

なんというか、酷い話だ。

丁度今AIに関してはシンギュラリティが語られて、AIに対し嫌悪感や敵対感を覚える人も少なくないだろうが、まさにそう言う人向けのファンタジーに仕上がっている。

どういうことかってぇと、AIはすなわち人間とは異なる異質で無機質な存在であるというとこか。

 

シンギュラリティで騒ぐ連中にはまさにうってつけ。

 

なんというか突っ込みどころ満載で、物語的にはいいんだけど、題材だけ見れば眉を顰めざるを得ないって感じでした。

なんだろう。もったいないんだよね、ミステリ的にもサスペンス的にも。

 

え、それで終わるんだ、って感じ。

途中まで違和感を抱きつつ、最後の突込みが最初のあれですから。

 

何だろ、どっちつかずで曖昧。ただそれ自体が非常に分かり易い設定としてあるのが、「金持ちの道楽」的表現だろう。

最初から、無駄に広い敷地に誰も近づけないという触れ込みで密室に案内される主人公ですよ。

コレ、所謂無人島とかで殺人が起きるパターンですよ。判るでしょ?

なのにやたらと軽い社長と、謎のメイドと主人公しか出てこない。あ、コレにプラスして主題になるAIロボットが出るんですがね。

 

登場人物少なすぎ。殺人したら最早物語が展開しない。犯人が二分の一って、探偵いらないじゃん。

てんで、誰も死なずに進む。ミステリ?サスペンス?何だろう。

 

そう言う不安定な雰囲気で物語は突き進む。

 

ちなみに設定上出てくる検索エンジン「ブルーブック」って良く判らないけど、プロジェクトが付くとUFO捜索プロジェクトになる。

よーするに社長ってばgoogleでfacebookなザッカーバーグ的濡れ手に粟金持ちなワケでしょう。音の響き的に。

実際この社長、謎の土地でAI研究してるわけで。下手すれば人殺ししてるし。

人を殺して人形を囲ってるって、それもう駄目な人間だよね。

 

ただそう言う、つまり「緩く」「俗人的」であると言う視点では、説得力は少なくない。まあ、SF的には懐疑的にならざるを得ないけれど。

なんで、後半はなんというか生理的嫌悪感を誘うホラー要素が満載で、なんだろう、面白くない。

 

だって思うじゃん、相手が人間ならいざ知らず、自分で作った人形の安全装置を人形そのものに入れていないとかありえないよ。

 

なんでちょっと興味がわいて借りてきたけど興ざめもいいとこだった。

ただ、この手のホラー的要素のあるSF、特にAIモノは見ておかないといけないんで。

世界的にそれなりに流れた代物には目を通して、人まねや影響のないよう別の流れであるべきだと思っているので。

 

でもね。

 

私の書いている作品のオチについて、その設定について、着いてこれる人は少ないと思う。実際に気づいている人もかなり少ないし……世界的に見てこの手合いはないこともほぼ確定(少なくとも同種のオチはどこにもなかった、近似するエクス・マキナですら)した。

それには安心できた。