《今日の出来事》
一年くらい前にお菓子の豆を食べて右の奥歯が欠けた。
別に痛みも無いし生活になんら影響するわけじゃないから放置していたら、一昨日くらいに急に激痛!しかも右顔半分全部激痛だ!
寝れない。どうしよう。
そうだ!歯医者に行こう!
ってことで歯医者に行ってきた。実は僕は物心ついてから歯医者という場所に行ったことがなく『ある意味初体験やな』なんて少しドキドキしていた。
まず歯医者に着いて真っ先に思ったことは『マスクで半分顔が隠れた女性は皆美しい』これは良い意味ではなく嫌味だ。そのままでいい。全てさらけ出した素顔なんて見たくない。出っ歯でもしゃくれでもマスクをしていたら美しいのだから。
なんて普段の僕なら思いもしないような悪の考えが頭によぎった。きっとそれもこの激痛のせいなのだろう。
そして僕は治療を受けた。
虫歯の進行がひどく、神経まで到達してしまっていたので、神経をとってもらうことにした。
麻酔を打った。
チクっと痛みが走ったが痛みに強い俺はなんてことなかった。
歯を削った。
遠くの工事現場から聞こえるような音を鳴らす小さなドリルが僕の歯をいじめる。でも麻酔が効いているのだろう。痛みはそれほど感じなかった。
針を刺された。
よくわからないが4本も虫歯の一部分に刺された。ズク…ズク…、っと針が刺さっていく生ぬるい感触はこの寒い冬の間は忘れられないだろう。
そしてレントゲン写真を撮ったり、さっきのドリルを使ったりいろいろな道具を使って虫歯をいじめる治療が続いた。
すると少し痛くなってきた。っと思ったらかなり痛くなってきた!治療前に先生が
「治療中痛くなってきたら言ってくださいね。もう一本麻酔打ちますから」
なんて言っていたのはいいが、どのくらいの痛さでどのくらいのタイミングで言えばいいのかわからない。それに口の中に手を入れてガシャガシャされてるし、助手のマスクの美女が勢いのよい水で歯を掃除するやつみたいな道具を使っていて、その水を飲み込むこともできないし、口の中だけ溺れている状態だ。
喋れないじゃなくて喋り方がわからない。
それになぜか俺なら我慢できるような気がしてきていた。
そこからが苦痛だった…。
ただただ痛い。
ガリガリガリ…と先端がL字になったような道具で僕の一番今敏感なところ、そう、虫歯の部分を引っ掻きやがる!
ガリガリガリ…は…激痛!激痛!激痛!である。
『なにが初体験でドキドキだ!バカヤロー!!』なんて声にならない叫びを先生を睨み繰り返しながら僕はひたすら耐えた。
「とりあえずこれで治療終了です」
その声を聞いた瞬間、安堵の気持ちでフっと全身の力が抜けた。その時には痛みは消えていたので、それこそどうすればいいかよくわからないが、どうにか終わった【初体験】の後のような気持ちだった。
すると、すっとマスクの美女の手が僕の左頬を触れた。
泣いていたらしい。
僕は僕の涙を拭ってくれたマスクの美女のあたたかい優しさをきっと次の寒い冬の季節がきても忘れることなく覚えているのだろう。
その時僕は思った。
いや、思ってしまった。
『彼女のマスクの下、素顔を見てみたい』
歯医者は痛みを治し、悪を殺した。
・・・
そして僕は家に帰った。
あれだけの虫歯だったんで、痛みはまだ少し続くらしいし、歯医者にはまだ通わなくてはならないが、寝れないほどの激痛が続くわけじゃないし、いうてる間に痛みは完全に消えるだろうから、全然悪い気はしてなかった。むしろ爽快な気分だ!
僕は何気なく今のこの気持ちを誰かに伝えたくて、Twitterを開いた。そこで見たものが僕の今の気持ちをレコードを素早く逆に回したように暗く戻させた。
【悲報】
AV女優カトリナこと加藤リナ引退!
カトリナは初めてTSUTAYAで勇気を絞ってレンタルしたアダルトビデオの女優さんだ。
いわゆる僕の【初体験女優】だ!
目を閉じればいつだって彼女の愛くるしい笑顔や、何人もの男を虜にしたなめらかな身体の曲線が思い浮かぶ。
なぜなんだ…。
僕は頭を抱えた。そして彼女のブログの記事を見た。
↓
http://blog.livedoor.jp/kato_rina/archives/4341806.html
↑
引退はデビューの時から決めていたらしい。なら笑顔で送り出してやるのが男ってもんだろう!そう僕は自分に言い聞かせた。
そして僕はサヨナラじゃなくて
「今までアリガトウ。これからも応援する。ガンバレ!」
と誰もいない一人の部屋で小さく呟いた…。
僕なりの精一杯なつよがりは誰に届くわけもなく宙に消えていった。
その時すっと僕の左頬に誰かの手が触れたような気がした。
だが左頬は
ずっと
濡れたままでなかなか渇かない。
・・・
ってことでみんな歯医者へ行こう!カトリナを観よう!バイ!
以上
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