太陽の門◆3◆feat. Sam後半 | 赤神諒のほめブロ

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ほめる、軽やかに、前のめりで。
自作の紹介や活動だけでは芸がないので、このブログでは、読者が前向きになれる題材を取り上げます。

「太陽の門では、できれば、日本全国で泣いて頂きたいと思っていたんですが――

「え? マジ? それ、ホント? 普通にヤバいんじゃないの? ボスは当然ハッピーエンドだと思ってるよ」

「ちなみにサムさん、さっきから人格変わってませんか?」

「あっしは酒が入ると、こうなっちまうのさ。だから、映画でもあんまり飲んでなかったっしょ。んでもって、今回はお涙頂戴で行くわけ?」

「誰もご存じないと思うんですけど、僕は自称、ブレイク寸前悲劇作家なんですよね……

「そら、誰も知らんやろ。まあとにかく、あっしは、まずいと思うよ。その路線は」

「もちろん笑いも取りに行くつもりです」

「ミスター・ムラサキガミ。ちゃんと笑い、取ってくれるの? あんたの授業じゃ、学生さん、ほとんど笑わないそうじゃん」

「うちの学生さん、笑わないんですよ。他の非常勤先では笑ってもらってるネタなんですけどね」

「心配だなぁ。顔見たらわかると思うけど、あっしは心配症なのよ」

……でもですね、 2回で悲恋って、書いちゃってるわけですよ。今さらハッピーエンドにしたら読者を裏切ることになってしまいます」

「そこまであんまり覚えてないんじゃないの? ラストまでまだ結構あるわけだしさ」

「カサブランカの前日譚という時点で、悲劇は既定路線なんです。他にどうしようもないじゃないですか」

「これから出てくるニューヨークの〇〇〇との悲恋もきついんだよなぁ、俺的には……

「すいません、そこをなんとか」

「だけど、こんなに悲恋ばっかでいいのかな。アメリカ人って、ハッピーエンドが好きなんよ、基本」

「そりゃそうなんでしょうが、イルザさんとパリで出会った時にリックが幸せだったら、話がうまく繋がりませんよね?」

「そこをなんとかするのが、作家なんじゃないの? ピアノ弾きには分からないけどさ」

 ――オリオン、頼みます!

「その辺り、ボギーさんは何かおっしゃってるんですか」

「何も言わねえよ。全部忖度しなきゃいけないんだ。そういう世界だろ? まあ、こうなりゃ、いけるとこまで突っ走るしかねえんじゃねえの? どうなるか知らねえけどさ」

「サムさんも、ちゃんとフォローしてくださいよ」  

「あっしにもっといい役くれるんなら、考えてもいいよ」

「わかりました」

「だけど、ボギーが明日出るかは、半々だろうね」

「え……もしかして、出ていただけない可能性もあるわけですか? そうすると、あの欄はどうなるんですか?」

「そんなこと、オイラは知らねーよ。とにかくミスター・ムラサキガミ。身どもは心配でならねえ。拙者とこんなにダべってて、大丈夫なんですかい? 時間がねえとか、いつもこぼしてるくせに、太陽の門の執筆、放っぽり出して、今日は東京都写真美術館の<時間を想像する>に行ってきたんしょ? それも、展示が充実してたから、2時間くらい。おまけにジムまで行ったよな? 余裕かまして、そんなことやってる時間あるのかよ。昨日からの赤穂出張じゃぁ、 PC のアダプターを忘れて慌てふためいて、仕事が徹底的に滞ってるってのに、よく行くわな。あちきの知ってるだけで、本業のも含めて4件も校正入ってるじゃん。他人事ながら、真っ青になるねえ」

「す、すみません、仕事します! でも、なんで、そこまで詳しく個人情報をご存知なんですか」