なら、伸太は間違っている。僕は忘れてなんかいなかった。もともとなにも感じていなかった。心に余裕がなかっただけで。ほんの少しだけ、祖母に会いたくなった。
 次の日、いろいろ考えていて学校に遅刻しそうになった。ホームルームが始まる寸前に教室に着いた。クラスの奴らは僕に興味なんてないから見ていないんだろうけど、焦っている自分を人前に出したことが恥ずかしくなった。ふと、視界に尚道の姿がうつった。尚道はマスクをしていて、ほんの少しだけ顔色も悪いように見えた。自分の席に向かっている途中、伸太の姿も見えた。伸太もマスクをしていた。そして、僕の方を見ているように感じて、そう感じる自分も嫌になった。
 ホームルームが終わってみんなが授業の準備を始めた。僕も準備を始めた。そこに、伸太が近付いてきた。僕は一瞬視線を奴に向けてすぐに準備を再開した。
「おはよ」
 伸太が僕の顔を覗きこむように言った。
「近づくな。風邪うつすな。」
「別に、俺は風邪引いてないけど。。 ・・・寝坊?」
「僕が寝坊?・・・ふっ、、あり得ない。お前らのせいで僕が少しずつ僕じゃなくなっているのは確かかもしれないけど。。 ・・・いや、違う。そんなわけない。。僕に話しかけるな!」
 言いながら頭が少し混乱していた。