国が東京や大阪に設けた大規模接種センターで、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの接種が24日から始まる。モデルナ製は既に接種が始まった米ファイザー製のワクチンとよく似ており、効果だけでなく副作用も大差ない。ただ、2回の接種では同じ種類を打つ必要があり、異なる種類の接種は避けなければならない。

 

モデルナとファイザーのワクチンはともにメッセンジャーRNA(mRNA)という遺伝物質を投与する仕組みだ。mRNAをもとに体内でウイルスのたんぱく質が作られ、新型コロナに対する免疫がつく。海外の大規模な臨床試験(治験)では発症を防ぐ効果がファイザー製で95%、モデルナ製は94.1%だった。

 

 

接種した後の副作用もよく似ている。両社がそれぞれ実施した国内の治験で最も多かったのは注射した部位の痛みで、約8割の人にみられた。そのほかの副作用の頻度は接種1回目より2回目で増える傾向にある。特に2回目を打つ際は当日や翌日に体調が悪くなる可能性に備えて、仕事を休むことなども考えておいたほうがいい。

 

1回目の接種のデータを詳しくみると、副作用の種類によって多少の違いがある。ファイザー製は疲労と頭痛、モデルナ製は筋肉痛がそれぞれ3~4割程度と比較的多かった。2回目の後は両者とも疲労、頭痛、悪寒などの頻度が5~6割程度となった。ほとんどの副作用は軽度~中等度で接種から数日のうちに回復する。

 

 

接種直後のまれな副作用として、急激なアレルギー症状である「アナフィラキシー」が起きる場合がある。米疾病対策センター(CDC)によると接種100万回当たりのアナフィラキシーの頻度はファイザー製で4.7件、モデルナ製は2.5件で、いずれも頻度は低い。アナフィラキシーの8割が15分以内、9割は30分以内に起きており、国内では接種後15~30分は会場にとどまって経過観察するようにしている。

 

両社のワクチンがよく似ているとはいえ、1回目にファイザー製、2回目にモデルナ製などと異なる種類を組み合わせて接種することはできない。2種類を組み合わせた場合の有効性や安全性が治験で確認されていないからだ。モデルナ製は国や自治体の大規模接種会場、ファイザー製は市区町村の会場で使われるため、二重予約をしないように注意が必要となる。