【ニューヨーク=白岩ひおな】世界で新型コロナウイルスの感染拡大第4波が鮮明になっている。1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)は17日に76万6000人超と昨年12月のピーク時の75万人強を超え、過去最多となった。米英やイスラエルでワクチン接種が広がる一方、インドや南米、欧州などでは従来より感染力が強いとされる変異ウイルスの感染拡大が顕著だ。

 

米ジョンズ・ホプキンス大によると、米東部時間18日午後2時(日本時間19日午前3時)時点で世界の累計感染者数は1億4088万人に上り、死者数は301万人を超えた。

 

 

国別ではインドの新規感染者数が26万人超と世界で最も多い。7日移動平均でも20万人を超えた。累計感染者数は1478万人を超え、米国に次ぐ2番目の水準だ。商都ムンバイのあるマハラシュトラ州では1つのウイルス内で2つの変異が起きる二重変異が確認されるなど変異ウイルスが猛威をふるう。

 

抗ウイルス薬「レムデシビル」の不足も指摘されている。1日あたりの新規感染者が2万4千人にのぼる首都ニューデリーでは、病院の収容能力が追いつかず、1つのベッドを2人の患者に割り当てるなど苦肉の策を強いられている。

 

新規感染者数はブラジルが6万7千人超、トルコが6万2千人超で続く。ブラジルは新規死者数も2900人超と世界で突出している。累計死者数は37万人を突破した。従来型と比べて1.4倍から2.2倍広まりやすいとされる「ブラジル型」の変異ウイルスの感染拡大が続いていることが背景にある。

 

16の州と連邦直轄区のブラジリアでは集中治療室(ICU)の占拠率が90%を超える。挿管に必要な鎮静剤や筋弛緩(しかん)剤などの医薬品も枯渇し、治療する患者の優先順位を決める「トリアージ」を余儀なくされる状況だ。ワクチン接種の遅れも響く。接種完了人数は16日時点で人口100人あたり3.56人にとどまる。

 

トルコではエルドアン大統領が13日、患者数の抑制へ2週間の制限措置を発表した。イスラム教の断食月(ラマダン)の開始に合わせて平日の夜間外出禁止の開始時刻を午後9時から午後7時に早める。飲食店の営業もデリバリーや持ち帰りのみに限定する。

ワクチン接種が進む米国では1日あたりの新規死者数が680人と減少傾向にある。米疾病対策センター(CDC)によると、これまでに米国内では2億940万回のワクチンが接種され、18歳以上の約半数が少なくとも1回のワクチン接種を終えた。ただ、ミシガン州やニューヨーク州、ペンシルベニア州などで若者を中心に感染者の増加は続いており、新規感染者数は5万2千人超と世界で4位の水準だ。