【台北=鄭婷方、黎子荷】米アップルが小型スマートフォン「iPhone12 mini」の減産に踏み切ることが10日、分かった。2021年前半の生産計画を引き下げると主要サプライヤーに伝えた。同機種はアップルが20年秋に発売した4種類のiPhoneのうち画面が最も小さく、需要が想定に届いていないもよう。同機種の部品メーカーは生産調整を迫られる可能性がある。

 

複数のサプライヤーが明らかにした。21年前半のiPhone全体の生産計画は、20年12月時点に比べ2割少ない7500万台前後に見直され、減少の大部分をiPhone12 miniが占める。一部の部品メーカーはアップルから同機種の専用部品の生産を一時停止するよう求められた。「iPhone12 pro」などその他の機種は堅調な需要が続いている。

 

iPhone12 miniは高速通信規格「5G」に対応したが、ディスプレーのサイズは5.4インチと小さい。電池容量も他の大型機種より劣る。広発証券(GFセキュリティーズ)のアナリスト、ジェフ・プー氏は「多くの消費者はまだ5Gにあまり期待しておらず、画面が大きい旧型のiPhone11を選ぶだろう」と話す。

 

スマホやパソコン、自動車など幅広い業界で部材が不足するなか、アップルは半導体やプリント基板、ディスプレーの確保に向けて調達を積極化してきた。生産計画の下方修正はアップルの調達姿勢の変化を示している。

 

米調査会社IDCによると、20年前半のiPhoneの世界出荷台数は7430万台。21年前半の生産計画はそれをわずかに上回る水準となる。

アップルは日本経済新聞の取材に対してコメントしなかった。