ホロン
手元の辞書によると、編集とは「ある企画のもとに書物・雑誌などをまとめること」とあります。
それはそうなのでしょうが、インターネットの高度利用が進んだ現代社会における「編集」というものの意味する所は、そんな狭小な範囲に括れるものではないと多くの人が感じるのではないでしょうか。
松岡正剛さんの『知の編集工学』を読むと、そのあたりがスッキリします。
松岡さんは、「編集」をたったひと言、「関係性の発見」と指摘し、常に変化し続ける情報(素材)を見極め、個々の関係性を取り出す行為だと述べています。
そうであるなら、およそ人間のあらゆる活動というものには編集作業がつきまとうことになります。
神戸製鋼のラグビーを7連覇に導いた平尾誠二さんは、「ラグビーは編集だ」と言ったそうです。
個々の選手の持つ固有のパーソナリティーを的確に捉えるだけでなく、試合前の心情など常に変化している情報を見極め、当てはめをしていくのが監督の仕事。
なるほど、これは「編集」に違いないと納得させられます。
また、松岡さんは『知の編集工学』の中で、情報の基本的動向を3つに要約しています。
(1)情報は生きている
(2)情報はひとりではいられない
(3)情報は途方にくれる
これら3つを一まとめに「情報は関係し合おうとしている」と、しています。
だからこそ、編集とは関係性を発見する作業となり得るのですが、わたし自身が興味があるのは、関係し合おうとしている個別の情報(素材)と、編集(変身)後のひと塊の情報との調和です。
ハンガリー出身の科学者であり哲学者であるアーサー・ケストラーが提唱した「ホロン」という物理学の概念があります。
ホロンとは、ギリシャ語のホロス(全体)と、接尾語のオン(部分)を合成した造語で、「部分であり、全体であるもの」を意味するものとされています。
当然ながらこの概念はビジネスに即当てはめることができると思いますが、わたしの関心事は会社組織の強化というレベルではなく、「自己編集力」の強化にあります。
これまで蓄積された、あるいはこれから蓄積していく情報素材と、これらすべての結合体とも言える自分自分をどう「編集」できるものかな・・・・と。
調和のとれたホロン。今はガムシャラに動くべき時期なのかもしれません。
本書は近く、メルマガにて詳しく取り上げたいと思います^^