昏い穴に墜ちる
沈み込む
押し潰される
息もできないんだ
ビニール袋を口に当てて
息を吐く
息を吸う
僕の躰は鉛のようだ
水の中で走る
きみに追いつけない
だめなんだ
手足も痺れてる
きみに追いつけないんだ
倒れこんで 震える僕を
莫迦だと嘲笑ってよ
這いつくばって 泣き喚く僕を
蔑んで捨ててよ
きみだけが
僕の光だった
きみだけが
僕の未来だった
他にはなんもなかった
僕は無意味で無価値なんだ
昏い穴で息絶える
きみがいなきゃ
笑えるほどに
僕は空っぽなんだ
最後でいいんだ
莫迦だと嘲笑ってよ
鉛の躰を棄てる
押し潰されて
もう息苦しさも感じない
きみだけが
僕の光だった
きみだけが
僕の未来だった
他にはなんもなかった
他にはなんもなかった


途切れそうだ。
今にも消え去りそうな ぎりぎりの声で
君は叫んだ。
君は叫んだ。
必死でつけた爪痕に
心だけ残して
張り裂けそうなほどに 君は 頑ななまま。
赤く滲むよ。
ねぇ聞いてよ。
なんにも失くしてなんかいないんだ。
触れない 硬質な痛みは
君を支配し続けるんだろう。
僕は空にそれを投げた。
忘れるためではなくて
もう一度 見つけ出すために。
光に溶けて流れた。
僕の破れた鼓膜を震わしている
聴こえているんだ。
歌うように
君が叫んだ。
赤く痕つけ
僕を呼ぶんだ。


きみが切り取る僕の死を 一枚いちまい 再生させる

液体に浮かぶ 僕は きみに命を与えられた

細切れの死の中で
僕は 感情を取り戻していたんだ


こぼれているのは 熱のないかたまり

こわれていたのは きみじゃないよ

滲む筆先で 折れた指先で なぞるライン

僕は声をなくした

染み付いた煙の匂いがきえていく

鳴けない僕の代わりに きみが啼いた

夜に閉じ込めて
二度と 朝がこなければいい